2020年9月11日金曜日

再チャレンジ!プロジェクターライト (2020/9/20)

写真撮影は光の読み方で決まると言われますが、Second Lifeの場合はその光の元の部分を設定で自由に扱える為、それはそれで難しい部分であるとも言えます。

今回はその光源についての話題ですが、Second Lifeの照明は8光源(太陽・月を除いてユーザー設定が活きる数は6)と言うことはSLユーザー…特に写真部部員の方には周知の事実です。
 SL写真撮影では太陽位置や大気の設定で光をコントロールすることをおぼえますが、プロジェクターライトについて語られることはあんまりないような気がします。

このプロジェクターライトが登場して10年程度経ちますけれど、積極的に使われてるとは言えない感じがしますから、「再チャレンジ!プロジェクターライト」と、言うことでメリット・デメリット…使い方を紹介していきます。

※ プロジェクターライトも8光源の一つとして消費…つまりカウントされます。
※ プロジェクションという表記も見かけますが正しくは
projectorもしくはprojector lightです。


 1   通常の光源とプロジェクターライトの違い・特徴
プロジェクターライトは通常の光源に追加で持たせる属性です。拡張光源とも呼びますが、作業的には設定の途中までは通常の光源と同じ作業を行います。

 1-1  プロジェクターライトはスポットライトです。
通常の光源が点光源… 点を中心に球状に広がる光なのに対し、プロジェクターライトはスポットライト(方向性を持たせて当てる光)だと思えば良いです。
  • 通常光源:周囲に広がる点光源 → Point light
  • プロジェクター:指向性のある光 → Projector light
下図は大きな箱を部屋と見立ててその中央に光源を置いたものですが、通常光源とプロジェクターライトの違いが判ると思います。
※後ほど取り上げますが既存の点光源は板の遮蔽を超えて周囲を照らしているのに対しプロジェクターライトの光は外に漏れていないこともわかります。

通常の光源(点光源)
プロジェクターライト

 1-2  プロジェクターライトは「高度な照明モデル」に属します。
  • 見る時だけでなく作業時に於いても高度な照明モデル」にチェックしておく必要があります。(この状態でないと編集画面に設定項目が現れません
  • また、プロジェクタ光に対しての影効果はビューアの設定に依存するので影を落とす対象光源を「太陽/月とプロジェクタ」 にしておく必要があります。
※設定箇所は2-1にスクショを貼っているのでご覧下さい。


 1-3  プロジェクターライトをあてた場合はその物体の影を落とす。

上でも触れていますがプロジェクタ光に対しての影効果はビューアの設定に依存していますから対象光源を「太陽/月とプロジェクタ」に設定していないと影は落ちません。

尚、
プロジェクタ光源の数・パラメーター・投射距離やカメラ位置によっては意図したとおりに影が落ちないので注意して下さい。


 1-4  プロジェクターライトは遮蔽されます。

1-3の繰り返しとなりますが、プロジェクターライトは板等で簡単に光を遮蔽できますし途中に物体が存在したら影を落とします。

RLの光と全く同じ性質があると思っておけば概ねオッケーですが気をつけなくてはいけない部分もあります。

SL内のマテリアルは光を屈折/拡散/反射するようにはできていませんから照明光源のみの計算でモノが見えたり見えなかったりしています。
SLに設置/影響受けられる光源数の上限もたった6つですからプロジェクターライトのみで建物内の照明を行うことはかなり無理があるということを示しています。

通常光源
プロジェクターライト
プロジェクターライト


 1-5  テクスチャーを投射できる。

図形を投射する場合は白黒2値のテクスチャを充てます。
…グラデーションでも良いのですがパラメーター設定に慣れるまでは2値のテクスチャーの方が把握しやすいです。

白黒2値テクスチャーの例。


  • 上の動画のように投射光に図形のカタチをもたせる場合、その種板のことを照明用語では「GOBO」と呼びます。
  • また、画像をそのまま充てるとRLのスライド投射っぽい効果が得られます。(下に貼り付けてある2-5の動画がその例です)

 1-6  光源の上限数8(6) = projector lightの投射上限数ではない
ここ間違えやすいのですが、プロジェクターライトを投射用として使うのであれば上限数はあまり気にしなくても良いです(数が増えるほど重くはなります)

但し、灯体とスクリーンの間に遮蔽物があったとしても光が素通りしたようになり影は落ちなくなります。


※ 要は6を超えると光の計算がいい加減になってきます。
※ 遮蔽物に投射されますが後方スクリーンの方にも投射される謎現象も起こります。
※ 投射が多いと見る距離によって影が落ちたり落ちなかったりします。
※ 尚、公的エリアに必要以上の数の光源を置くことはマナー違反です。





 2   プロジェクターライトの設定の仕方
プロジェクターライトの設定について解説します。以下の通りの順で進めて下さい。


 2-1  先ず最初にビューアの環境設定 > グラフィックで次の箇所の設定をします。
  • 高度な照明モデル(高度なライティングモデル)」にチェック。
  • 影を作る光源対象を 「太陽/月とプロジェクタ」に設定します。
firestorm
公式

  2-2  プリムに光源を設定します。(これは既存の方法そのままです)

 2-3  プリムの編集画面にテクスチャを入れる箇所が出ていますが、ここに任意のテクスチャもしくはブランクを指定した時点でプロジェクタ光に切り替わります。
デフォルトのプロジェクター光は正方形です。
プリムの形状に関係なく正方形の光を出しています。


 2-4  光源色を変更すればもちろん投射光の色も変わります。

 2-5  よくいじるパラメータはFOVと焦点の2つ。

FOVは投射絵のサイズ設定。焦点はピント合わせです。

3番目のパラメーター「環境」ですが、0.0にしておくとコントラストが上がり全体の光量は下がるものの投射した絵はシャープですし影もクッキリ落ちます。
設定値としては0.0〜0.2くらいが一応の目安ですが、いじってみて各々の最適値を出して見て下さい。。


 2-6  ところでLSLにはプロジェクター関連の命令が実装されていません
テクスチャーやFOV・焦点をLSLで管理できればRLのスライドプロジェクターと同じものはすぐできそうですが、残念ながらprojector lightの各パラメーターをLSLで操作するための命令は存在しません。
projector light登場時から10年近く実装要求の声があがっていますが未だ未実装です。

なので、現在のところ基本光源(Point light)での光源ON/OFFや色変更その他でごまかして使うしか手がありません。




 3   プロジェクターライトの応用(撮影用照明)
プロジェクターライト撮影用の照明として使用する場合の注意点です。

2-3でも触れていますが、プロジェクターライトは正方形の光です。
ですから撮影のフレームに四角い投射光のヘリが入らないように常に意識していないと失敗します。既存の点光源の照明にはなかった部分ですしね・・・


一応「焦点」パラメーターをいじると投射光自体をボカすことができるのでヘリも幾分気にならなくはなりますが、自然なボケが出ているわけではないので少し違和感があります。


そこで、撮影用にはこういう種板を用意すると都合が良いです。
これは立った人物撮影用に作った種板ですがモノ撮りもOKです。
 用途に合わせて色々なカタチの種板を作って持っておくと便利です。




 4  教材(評価キット)の使い方。

プロジェクターライトは慣れると扱いは簡単ですが、取っ掛かりではその効果がイマイチ想像できないかもしれません。
なので今回
第510回デジアカMac部部活用に評価キットを作りました。
仕組みを知ることが目的ですからテクスチャーやスクリプトも含めてフルパーにしてあります。

【評価キットの内容物リスト】

  • コントローラー:照明を操作する卓です。
  • 灯体:5つ入れてあります(テクスチャが違うだけでそれ以外は同じものです)
  • 映写機ROTATION指示はスルーしますがそれ以外は基本灯体と同じ機能です。
  • アバター追尾型灯体(アバターを追いかけて照明をあて続ける機能を追加しているだけでそれ以外は基本灯体と同じ機能です。)
コントローラー
基本灯体 ×5
映写機
アバター追尾型灯体


【重要】
projector light関連の関数(コマンド)は現在もLSLに実装されていないため、この評価キットで操作している部分はあくまでPoint lightであってProjector lightではありません
なので「映写機」とは名ばかりで…テクス入れ替えもサイズ合わせ・ピント合わせは全部手作業で行う必要があります。
ですが、Point lightの箇所だけでも遠隔でリモコン操作できると照明を操作してる実感があって「ライティング」を楽しめると思います。

〜〜〜〜〜 ここから下は評価キットの使い方 〜〜〜〜〜

 4-1  灯体のグループ(チャンネル)設定


先ず灯体を編集で開いて説明欄のところにチャンネル名を書きます。
[ C1〜C10 ] 複数の灯体に同じチャンネル名を付けてもOKです。


同じチャンネル名にするとコントローラーから同じ指示を受けて一緒に動作します。

つまり同じグループという概念です。



 4-2  プロジェクターのテクスチャはどこにあるのか?

灯体を編集で開いただけではルートを参照してしまうので、「リンク部分を編集」でサブプリムの方を開いて下さい。前面にあるレンズ部分です。



 4-3  コントローラーの操作方法

コントローラーはグループアクセスオンリーで動作するようになっていますから、Rezした時点のグループの者のみ操作可能…となっています。
もちろんアイテム所有者ならば後で任意にグループ変更できますね。

※ SL照明卓はたいていグループアクセスオンリーで運用します。
※ ここで言ってるグループはSLグループのことです。ここから下の説明に出てくるGROUPとは別のものなので混同しないで下さい。



 コントローラーの操作手順 
初期設定の手順(Rez直後や一旦設定をリセットしたい時)
  1. GROUP CHでALLを選択。
  2. DIMMERでOFFを選択。
  3. COLORでを選択。
  4. ROTATIONで黒(停止)を選択。

操作手順(普段使用する時)
  1. 操作したいチャンネルをGROUP CHから選びます。
  2. 照度をDIMMERで選択します。(OFF / 弱 / 中 / 高輝度)
  3. 色をCOLORで選択します。
  4. 回転の有無と速度をROTATIONで選択します。(止 / 低 / 中 / 高速回転)
  5. ※ 一度1〜4の流れを操作していれば[そのGROUP CHは]それが設定値として保持されますから二度目以降は色だけ変更とか回転速度・照度のボタンをいきなり押してもオッケーです。

 4-4  コントローラーと灯体の距離について・・・
通信にはllShoutを使用しているのでコントローラーと灯体は最大で100m離せます。
つまりコントローラーのルートプリムにあるスクリのllShoutとなっている箇所を他の命令に書き換えると通信距離が変更できます。

 llWhisper  10m
 llSay  20m
 llShout  100m
 llRegionSay  SIM全域

※ llRegionSayはmの距離ではなく同じSIM内であれば地上とスカイで数千m離れていても全域通信可能範囲になります。(一方、SIM境界線を跨ぐと例え距離が1mであっても届かなくなります)

※ 更に、接続されてない・あるいは遠く離れたSIM(つまりSecond Life内のSIM全域対象)に置いてある照明灯体をコントロールする方法もありますが、ここでは割愛します。

※ スクリを開くとわかると思いますが、まず使われていなさそうなチャンネル & オブジェクト名の限定を行っているので広域にコマンドを飛ばしていても混信はしません。

※ (注意!)コントローラーのオブジェクト名を変更すると動作しなくなります
各灯体は送信元(Object名)を確認して指示が自分に向けられたものかを判定しています。

※配布用箱詰め & このコンテンツを書いた後に20チャンネル版に拡張しています。
コントローラーと灯体のスクリに変更加えているので10チャンネル版と一緒には使わないで下さい。

灯体に設定できるチャンネルはC1〜C20となりますが、それ以外の部分は一緒です。
このバージョンも別の箱に入れて配布します。



 5   プロジェクターライトを動画にも活かそう!

スチール写真の撮影にプロジェクターライトが有効かつ効果があるのは確かですが、「照明」からの光で影が落ちることで躍動感が活きてくるステージ等のライブが動画的にもこの照明の特徴を最大限活かせると思います。

私自身、ステージライブの動画撮影は依頼モノも含めて過去何度か経験あるのですが、残念ながらその時はまだプロジェクターライトが存在していなかったので未経験。

VWBCの番組撮影の時はプロジェクターライトはありましたけれど、過去撮影素材のまとめ編集などしかやっていないので私自身はここでも使用経験がありません。

今後積極的に利用を考えてみたいと思いますが、皆さまも動画撮影にプロジェクターライトを使ってみて下さい。

リンク:過去撮っていたSL動画リンク集(主なもの)



 6   まとめ

取り扱いにややクセのあるprojector lightですが要点をまとめておきます。
  • 設定作業時も含めてビューア側は高度な照明モデルにしておく必要がある。
  • 指向性を持った光なのでRL舞台のスポットライトや車のヘッドライトと同じ。
  • テクスチャーを投射できる。
  • 遮蔽されるので囲いの中でprojector lightえば光は外に漏れない。
  • 但し「高度な照明」をONにしてない人にはありえないほど盛大な光害に見える。
  • 周囲光源数が6を超えると影の描写が不安定になる。(自身が装着してるFace Light・Body Lightもカウントされるので注意が必要です)
  • LSLに実装されていないのでスクリプトから直接コントロールできない。
素材は東方影絵その他

スクリプトに実装されれば投射する絵や大きさを次々切り替えて影絵やスライドショーなどができるようになるので格段に応用範囲広がります。
そして更にテクスチャとしてメディアURLを貼ることができたら、、映像を投射できることになりますね。

登場以降何ら拡張もされず放置状態のprojector lightなので、今後の動きにもあまり期待が持てないのですが・・・・・・
まぁ、ユーザー間で少しでも積極的な利用が進めばいいなと思います。

あんまり利用されてないprojector lightのお話でした。

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