今回のテーマはICですが、知らなくても特に損もしない… 雑学としてまとめています。
膨大な数の電子部品の寄せ集めなんだろうな〜って部分がわかればオッケーです✿
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ICとかチップとか呼ばれている集積回路は身の回りのあらゆる機器に入っています。
カスタムIC等も多いため本気で扱うとなるとかなり広範な話題ですし本職でもその全ての存在と役目を把握しきれない現状があります。
ここではその中のほんの一部…の中のほんの一部を紹介します。
専門的な話ではなく雑学的なものですから内容全てを本気で覚えなくても大丈夫です!
ページ下の方に論理回路図をはさみましたから難しく受け取られてしまうかもしれませんが、ただの図として捉えて下さい。
一般の方がICや集積回路と聞いて思い浮かぶ代表的なCPUをはじめとしてその他のものにも 2 〜 6 で少し触れていますが、最後の 9 につなげるためのただの参考です。
モトローラ系のCPUも紹介しようと思っていましたが、CPUクーラー剥がすと戻すのが面倒なのでバラでしまってあった写真撮りやすそうなもののみ。
Mac部の部活なのでモトローラのCPUが紹介できないのは残念ですけれど
それぞれの特徴を説明する記事ではありませんからモトローラのCPUは割愛します。
CPUとメモリーとタイマー(適当に選んで寄せ集め) |
水晶が発振するクロックをタイミングとしてメモリーに書き込まれている指示を読み取り処理をしてまたメモリーへ書き戻したりインターフェースを司る別のICへ指示を出したりしています。
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CPU参考1:Zilog Z-80 CPU
Z-80CPU |
1976年に登場した8bitのCPUですが、1980年代までは個人向け8ビットコンピューターのCPUとして・・・それ以降現在に至るまで家電製品など組み込み用途で使用されています。
つまり40年以上経つ今でも現役のCPUです。
ザイログが開発元ですが各社からセカンドソース契約によって出ています。
写真はSHARPのLH0080B。最後のアルファベットがクロック周波数を示していてBは6MHzです。(無印は2.5MHz)
内蔵している(印刷されている)トランジスタ数はおよそ8,200個です。
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CPU参考2:Intel 80386 CPU
Intel 80386DX-16 |
但しWindows3.1を動かすためにはやや非力で現実的にはMS-DOSベースでのアプリケーション動作の高速化に貢献しました。
※時代的にこの80386と争っていたのはMacintoshでおなじみのモトローラ68020や68030あたりになります。
内蔵している(印刷されている)トランジスタ数はおよそ275,000個です。
現在のところCPUメーカーとしてはIntelの一般認知度が高いと思います。
「インテル入ってる」のキャッチコピーのせいもあるでしょうけれど、Windowsの成長とともに周知されてきたのは言うまでもありません。
もちろん、それ以前からIntelのCPUは存在していて、上記ザイログZ-80の8ビットの時代はIntel8085が台頭しています。と、言うより元インテル社員がつくった会社がザイログです。
インテルCPUの系譜(4ビット〜8ビット〜16ビット〜32ビットCPU)
4004→8008→8080→8085→8086→8088→80186→80286→80386→80486→Pentium→
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CPU参考3:Intel 80387 FPU (CPUではありません)
Intel 80387DX-16 |
CPUの補助として浮動小数点演算を行うものでFPUと言います。
コプロセッサとも呼びます。
現在のCPUはFPU機能も内蔵されていますが、80386までは外部にこういうFPUを必要としました。
Intel80286には80287を・・・ motorolaのMC68020には68881をみたいな感じです。
但し、FPUは必須ではなく なければないでCPUでソフト的に浮動小数点演算はできました。(でも遅いです)
この頃のPCではFPUは別売品として扱われていてソケットが空きの状態でした。
10万円前後するFPUを買い求めるメリットですが、計算需要の高いCGでは搭載/未搭載でかなりの差が出るので作業効率を上げるため企業や大学で購入していたケースも多いと思います。
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CPU参考4:Intel Pentium CPU
第一世代60MHz版Pentium |
写真のPentiumは第一世代60MHz…つまり一番最初のPentiumですが、単体価格が高すぎたためすぐ民生に普及とはいかなく苦戦していたようです。
1993年登場のPentiumシリーズは2018年の現在でも新しいPentiumが登場しています。
Core iシリーズとの違いは簡単に言えば演算命令処理の違いなのですが、エンコード処理用途でなければ選択肢に入ります。
写真にあるPentium 60MHzの内蔵トランジスタ数はおよそ3,100,000個です。
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EPROM
27128EPROM (UV-EPROM) |
特に上面に石英ガラスの窓が開いているものはUV-EPROMとも呼びます。
メモリーには電源を切ると内容が消えてしまう揮発性メモリーのRAMと、電源を切っても内容が消えない不揮発性メモリーのROMがあります。
RAMはPCのメインメモリとしても利用されています。
一方、ROMは書き込みのできない読み出し専用のメモリーですから、使用例としてはPC起動時に最低限必要となるプログラム収納やゲームカートリッジ等があります。
(ゲームカートリッジのことをロムカセットとも呼びます)
但しROMは一旦書き込んだものを修正変更はできないため開発現場には向きません。
この開発現場での要求・・・電源を切っても消えないこと・必要があれば書き換えできることの2つの条件を満たすものが必要とされ登場したのがこのEPROMになります。
ある意味、設計完了/商品化され一般に出回るものには使われていないメモリーとも言えますが、ごく稀にEPROMが使われていることもあります。
単価的都合でワリが合いませんが生産数または製品出荷後のサポートその他色々事情はありますが最終的なコストとの兼ね合いでEPROMが選択されているケースもあります。
表面にある石英ガラスの窓に強い紫外線を当てると消去・再利用が可能です。
尚、写真の27128は128kビット(16Kバイト)の容量です。
また紫外線ではなく電気的に消去が行えるものをEEPROMと言います。
現在のSSD(フラッシュメモリ型)は日本人が発明したものですがEEPROMの一種と言えます。
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論理ゲート1
最後にまとめです。と、言うか本題です。
最もシンプルな論理素子である論理ゲートのひとつ…NANDを例にあげて、ICが提供する機能の一角…デジタル回路としてのICについて簡単に紹介しておきます。
デジタル回路では一番基礎部分にあたるものですけれど雑学として知るだけなら
ニュアンス的に計算行為の一番大元の部分だと考えてください。
現在のコンピューター(CPUはじめ各チップ)はこれら論理ゲートを膨大な数収めていると表現しても差し支えありません。
ANDは「及び」・ ORは「または」 ・ NOTは「否定」です。
AND…全てに1を与えてくれたらうれしいので1を返す
OR…どれかに1が入れば(他が0でも)1を返す
NOT…天邪鬼なので1が来たら0を返す。0が来たら1を返す。
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論理ゲート2
それを踏まえてとりあえず用意したこのICの役目を見ていきます。
写真はどちらとも4組の2入力正論理NAND(否定論理積演算素子)をもつICです。
※上の写真は7400及び14011の表記があって全く別の部品ですがTTLかCMOSかという違いのみで処理内容は変わりません。
このICには4つの2入力正論理NANDが入っています。

7番ピンはグランド・14番ピンは+電源供給のためのピンですから気にしないで下さい。
論理とか否定論理とか表現が難しく感じると思いますけれど、2つの入力がある場合、両方が1の場合のみ0を出力するという意味です。
2人いるとして片方が反対・2人とも反対なら賛成をして、2人とも賛成の場合は反対をする…そんな超天の邪鬼さんな結果を出すICです。
(ANDで出た結果をNOTで否定して逆にしてしまいます)
論理ゲートにはこのNAND以外、AND、OR、NOT…他にもNOR、XOR、XNOR等があり、それをどう組み合わせるかで機能を与えられた論理ゲートICがたくさんあります。
各ピンが入力(1か0)を得てその組みあせでどんな結果(1か0)を返すかで機能がわかれています。
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論理ゲート3
もしもICを使わずに抵抗・ダイオード・トランジスタの組み合わせでNANDを作ろうとしたら…
最も部品点数の少ない最低限の構成は下図のようになります。
論理ゲートのICにパッケージされているNANDは勿論デジタル回路としての確実な動作と速度が求められますから、それら補償回路も含めるとこれとは比較にならない規模の回路になっていますが、これを小さなチップとしてパッケージ・取り扱いを簡単にし安価で安定に動作するようにしたものが集積回路としてのメリットです。
※今回のテキストは結局この”まとめ”を実感してもらうのが目的です。
単純な話としてはCPUの性能は内蔵されているトランジスタの数… つまりゲート数だと表現できます。
【こぼれ話】
現在ではほとんど使われなくなった表記で、SSI・MSI・LSI というものがあります。
これは集積された素子数でICを分類定義したもので、それぞれ小規模集積回度・中規模集積回路・大規模集積回路…の意味です。
LSIの次代以降 VLSI、ULSI…更にGSI(巨大規模集積回路)という言葉で細かく分類する動きもありましたが、LSI時代から急速に集積度が上がっていったためこれらの分類自体に意味がなくなりました。
ちなみにLSIは内蔵トランジスタ数が1000〜100,000個のものを。GSIは1,000,000,000個〜のものを指していました。
※昨年登場したNVIDIAのGPU Tesla V100はトランジスタ21,000,000,000個です。
※最初の頃はSSI・MSI・LSI そしてgiantのGを取ってGSIという順番でしたが、時代的にギガが通じる時代に入ったことからgigaを充ててGSIと表記(同時にトランジスタ数10億の意味含)、LSIとGSIの間にVLSIとULSIを差し込みました。
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