USBが登場する以前のものを紹介しています。
その2はUSB以降を紹介していく予定です。
PC内部では様々な規格で接続が行われていますが一般使用者には関係ない部分なのでそれらには触れていません。あくまでPC本体(筐体)の外側についている周辺機器を接続するための出入口についてです。
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IEEE488
別名GPIBと呼ばれるものでCommodore PET(※1)に採用されていました。
元々計測機器接続用のものなので一般向け商品への採用例も少なく一般層にはかなりマイナーですがSCSIが表舞台に出てくるまではデイジーチェーン接続・最大接続機器数15台・通信速度1MB/sというスペックは当時色んな可能性を見せたと思います。
但し業務用途が前提の規格のわりに最大距離20mとせいぜい室内でのひきまわし程度でしか使えません。
この距離の短さを補うため後に優先的に光ファイバーアダプターが誕生しています。
これを使用すると距離をkm単位に拡大させることもできます。
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GPIBのケーブル |
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GPIB接続使用例(レーザースキャニング画像描画スレーブ) |
※1
Commodore PET2001 ・ Tandy Radio Shack TRS-80 ・ Apple AppleIIの3機種が実用レベルとして世界規模で拡販された最初の個人向けコンピューター御三家です。
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PET2001-32N・TRS-80・AppleII |
余談・日本はまだ基板むき出しでLEDとテンキーが付いただけのマイコンキットの時代なのでスルーとして…
海外では御三家より前にもAltair 8800やIMSAI 8080と言ったマイコンが出ていますが動かすためにはアドレスバス・データバスの各ビット入力用トグルスイッチの操作などコンピュータ動作の仕組みとマシン語の専門知識が必要なため一般向けではありません。
映画「ウォーゲーム」に出てくるハッカー少年が使っていたモデルです。
勘違いしやすいですが当時のマイコンはこれで完結でモニター・キーボードは必須ではありません。2
RS232C
モデムやプロッタその他様々な周辺機器接続用に一般に広く普及したインターフェースでWindows系のPCではおなじみです。
シリアル接続ですがノイズ対策のため振幅電圧を大きくした結果その電圧変化に時間がかかり通信速度が上げられないデメリットがあります。
最大通信速度160kbps 最大ケーブル長約15m
D-sub9ピン D-sub25ピンのRS232Cケーブル |
先ずPCがこのインターフェースを使っていたことが大きいのですが システム屋さんが製作する機器は例えPC前提動作でなくてもRS232Cを搭載していた傾向があります。
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PS/2
これもWindows系PCではおなじみのキーボード及びマウス接続用のポートです。
キーボード・マウス向けにデザインされているため通信速度の方は重要視されてなく40kbps程度です。
このインターフェースが広まる前は各社が独自仕様のものを作っていたためキーボードやマウスの互換性はありませんでした。
その意味ではメーカーの多いWindows系での機器互換性及び販売価格面においてかなり貢献したと思います。
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この色でおなじみのマウス・キーボード接続用PS/2コネクタ |
以下、Macに備わっていたインターフェース
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RS422
Macintosでは独自のコネクタを用いてプリンターポート / モデムポートと呼ばれていました。
Macintosh本体には呼び方が異なるこの2つのコネクタがセットで備わっていましたが中身は一緒です。
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Masictoshで使われたmini-DIN8コネクタ |
名前の通り、プリンター接続・モデム接続用ではありますが、LocalTalk(AppleTalk)としてネットワークの接続にも用いたため企業などではネットワーク接続用としての認識が強かったようです。
尚、ネットワークを組む際に専用のケーブルではなく廉価なRJ-11(6線式電話線)を使用できるものが広く出回り、これをPhoneTalkと呼んでいます。
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Macintoshに接続し電話線を芋づる式に繋ぐPhonetalk |
RS422の規格上の通信速度は10Mbps・最大通信距離1.2kmですが、最大通信速度はケーブル長さ1.2m時のもので逆に1.2kmの長さの場合は100kbpsとなります。
この混乱を避けるためアップルは一般ユーザー向けには230kbps 距離15m程度と実用的な数値を表示していた記憶があります。
また、Macintosh以前のAppleIIシリーズ(Apple IIGS)にもLocalTalkが搭載されています。
※EtherTalkはイーサネットを使用するものなので説明は省きます。
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ADB(Apple Desktop Bus)
主にキーボードやマウスの接続に使用するポートです。
デイジーチェーンで接続していけるのでひきまわしが楽でした。
Apple製モニターにもADBが付いていますが、キーボード・マウスを接続する以外にMacintosh本体と通信を行いモニターのキャリブレーションにも使われていました。
Macキーボードの両端にあるADBコネクタ |
また、この頃のApple製キーボードには電源スイッチが付いていますがADBを通してMacintosh本体の電源ON/OFFに使いました。
キーボード上にある電源スイッチ |
ADBはApple製の製品のみでなくNeXT製のPCにも採用されていました。
余談として…当時のジョブズさんの発想に音を中心に据えるものがあったのかは定かではありませんが NextstationではNext本体の次にサウンドボックスが接続されこれを入出力装置の中継機器とし、その先にモニター・キーボード・マウスの接続を行っていました。
※この特異な接続形態についてはNextの所有者に直接確認をとっています。
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SCSI (Small Computer System Interface)
外部接続に使用するSCSIと言えばだいたいは5MB/sもしくは10MB/sを指します。
主に内蔵HDD接続などに使用されるSCSIは320MB/sのultra320 を頂点として高速仕様のものが多いです。
尚、SCSIはパラレルのため単位はbpsではなく転送容量で表示します。※2
8〜16台の機器接続ができますが総延長最大25mまでです。
またSCSIは現在流通しているPCからは姿を消していますが、レガシーに落ちたわけではありません。
但し、現行最新または今後のSCSIはパラレルではなくシリアル(Serial Attached SCSI)です。その理由は 8 を御覧ください、
尚、Macintosh間をSCSI接続すればターゲットディスクモードが使えます。
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SCSIターミネータ |
尚、周辺機器を接続渡ししていった最後には上写真のようなターミネータを接続して終端処理しておく必要があります。
※2
通信速度と言えば、主に使用される単位はbpsです。
インターネットの通信速度の表示にも使われていますからこの単位を目にする機会は多いと思います。
bit/second…つまり1秒間に何ビット送受信できるか?という意味ですが、それに対して一般に使用される情報の単位はバイトです。 (1バイトは8ビット)
【何故SCSIはbpsでなくバイト表示なのか?】
下に貼った図を見るとわかりやすいですがシリアルインターフェースは線1本に縦列で情報(ビット)を流しています。つまり1バイト分のデータ送受信に縦並び8つのビットを順繰りに送受信する必要があります。
それに対してパラレルインターフェースのケーブル内には並行して複数の線があるため横並びで一度に1バイトの情報を送達可能です。
そのためパラレルのSCSIではB/sの単位を使います。
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図解で見るパラレルとシリアルの違い
例えば半角英数アルファベットのAを2進数で表現すると1001101
パラレルでは8本の線でビットを一度に送れますが、シリアルでは1本の線で順繰りにビットを流します。
上図はイメージです。
SCSIケーブルのあの太さの中にはたくさんの線が詰まっていたんだと想像できると思います。
パラレルは単純に速度が稼げることが一応のメリットですが信号線を並列に束ねるので耐ノイズ性が高くありません。
つまりケーブルをむやみに長くはできません。
太くて取り回しし難く断線しやすいことなどもあってデメリットの方が多い印象があります。
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パラレルからシリアルへ
昔の認識では速度を要求されないインターフェースにはシリアル。速度が必要なインターフェースにはパラレルという選択です。
でも現在のシリアルインターフェースは当時のパラレル接続を遥かに上回る伝送速度を持っていて昔の認識と正反対で逆転しています。最早シリアル一辺倒ですが、こうなったのも理由があります。
昔のPCはCPUクロックもMHz単位で処理能力的に言っても周辺機器との接続にそれほど高い要求はないので、とりあえず誰もがイメージしやすい説得力のある話として並列で一度にバイトを送れるパラレルが高速で縦列で1つずつピットを流すシリアルは低速向けという印象の定着。
ところがPCの高速化について行けずパラレル伝送という方式が根を上げはじめました。
実はパラレルは同期クロックが100MHz程度、よくて133MHzが限界です。
並列にデータの送受信を行うためには、1バイト分(8ビット)のデータを横一列に揃えてからスタートさせる必要がありますが、処理を行う側は1ビットずつデータをインターフェースの出口に揃えなくてはいけません。
例えば100MHzで動かす場合、この8つのビットを横一列に揃えるのに与えられた時間は10ナノ秒しかありません。
横一列に揃えられなければスタートかけられませんが、データを揃える処理以前に回路を構成している部品やその素材自体の反応遅延が問題となります。
シリアル接続は・・・・
それに対して、、シリアル接続は途中でしゃっくりを起こして遅延したとしてもそれで論理的にデータが壊れるわけではないので事実上イレギュラーな 遅延は考慮しなくて良いことになります。
それがシリアルの利点で、現在ではむやみに速い伝送速度が表示されていますしケーブルの中をはしる線の数もパラレルに比べて大幅に減らせる大きな利点があります。
これが、時代がシリアルに向かった理由です。
このシリーズの第二回目はUSB以降の紹介になりますが、そちらはシリアルしか存在しません。
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テーマ募集
デジアカMac部 毎週日曜22:00〜23:00
この1時間枠を自由に使って持ちネタを披露して下さい。
Mac部 部活ですからネタの傾向としてはPCやスマホ・各種ソフトの話題・インターネット等のITがらみのものが中心になると思いますが外部からは見えにくい仕事の紹介(PCで云々など)など内輪話でもけっこうです。
また、疑問に思ってる話題・気になっている話題のような皆へHELP的な内容でも良いと思います。
講座形式でも雑談寄りの内容でもそれが話題のキッカケ提供になるならオッケーです。
何れの場合もブログまとめ・ネット上へのアップが理想ですがノートに箇条書きして部活時間に配る程度のものでも大丈夫です。
話題を1時間ほどもたせることができればオッケーです。
雑談とわけるため、 最低限ノートにまとめて開始前に配布というスタイルは通して下さい。
※リレー形式なのでその日担当された方が次回担当者を指名するカタチですすめます。
※そのため突然順番がまわってくると思います。
※これは1周だけでなく一巡した後はまたまわしますから各自たくさんネタを考えておいて下さい。
現在決まっている予定…
9月30日(例外で23:00〜)でんでんでんちゃの「街をぶらつき実践してみるポケモンGO講座」
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番外 ・Synclavier(シンクラビア)とFairlight CMI
2台ともコンピューターを使った音楽制作機材で GarageBandなど現在のDAW(Digital Audio Workstation)の遠い祖先にあたる機材です。
下写真のモデルはSynclavier9600ですが、この一つ前のSynclavier3200も含めてデータ管理用にMacintosh IIを使用しています。(冨田勲さんが使用していたシンクラビアはMacintsh誕生以前のモデルだと思います)
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synclavier9600 |
音源をサンプリングしたり画面上で波形をいじって音色を加工しシーケンスもしくは鍵盤で演奏〜デジタルレコーディングまで音楽制作の全てを行います。つまりやっている内容は現代のDAWとほぼ同じです。
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synclavierキーボード入力装置 |
そのためsynclavierは全てをコンピューターで行える唯一の音楽制作環境のためとても高価な機材です。
ほぼ同時期にFairlight CMIという製品も出ていますが、性能と機能を制限し日本円で1200万円程度にまで価格を抑えていますから、その8倍高価なsynclavierより数が売れたのは確かです。
そのためどちらかと言えばFairlightCMI(下写真)の方が有名かもしれません。
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FairlightCMI |
この記事は公開設定になっていますがSecond Life デジアカMac部の部活1時間枠用として部活時間に捕捉説明を行う前提のメモ…つまり口頭解説とセットとしてまとめていますので(記事のみ参照・思い込みを避けるため)記事の転載及びリンクはお断りします。
また、デジアカMac部 部員の方以外のコメントもご遠慮下さい。
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