今回のテーマは身近にあって誰もが利用している電気のお話です。
例えば、デスクトップPCはコンセントに挿して使います。
ノートPCならばACアダプターを介してバッテリーを充電です。
でもPCの中身は殆ど直流で動く部品で占められています。
そもそもノートPCで使っているACアダプターって、その出力はDC(直流)です。
AC(交流)で送電されてきて、DC(直流)に変換して使っていることになります。
ACはalternating current、DCはDirect Currentの略です。
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少し例をだしてみます。
新幹線は交流 25,000V、首都圏の在来線は直流 1,500V、
カーバッテリーは直流12Vもしくは24V、
家庭のコセントは交流 100V(だから家電製品はみんな交流100V)、乾電池は直流 1.5V、USB充電は直流5V、PCの中にあるCPUやメモリは直流3.3Vとか5Vで動いています。
今ではよく聞くようになったLED(発光ダイオード)は直流1.8〜3.6Vです。
身の回りに交流・直流が入り乱れていますが、普段の生活でそのことを特に意識することはありません。
でもそもそもなんで交流・直流が入り乱れているのか?
社会で交流・直流の2種類の電気を使う理由などが今回のメインテーマになります。
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交流と直流の違い 1
交流と直流の違いは、コンセントと乾電池を思い出せばわかりやすいです。
交流と直流の使い方・使い勝手をすごく簡単に表現するとこうなります。
家のコンセント使う時に… コンセント挿す向きなんてあんまり意識しない
電気製品に乾電池をセットする時に… 電池の向きはとても重要!
※実はコンセントにも向きがありますが、殆どの家電は挿す向き関係なく動きます。
※コンセントの穴を見て大きい方がColdで小さい方がHotです。Coldはアースを兼ねていますが例えば代表例で言うとアナログ・オーディオ機器はこの極性通りにコンセントを差し込めば機器設計通りの音質が得られます。
※但し工事された方がACの極性を意識していない場合もありますから、正確に知りたい場合・具体的な方法は「コンセント 極性 検電」でぐぐって下さい。
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交流と直流の違い 2
中学2年の理科で習うものなので難しい部分はありません。
コンセント(交流100ボルト)
最初は交流です。
マイナス100Vからプラス100Vまで変化しています。
この波は正弦波やサイン波と言います。
※微積分でも証明できますが厳密には -141V 〜 +141Vです。
1周期にかかる時間は短く、東日本では1秒間に50周期、西日本では1秒間に60周期です。
周期のことをサイクルと言いますから50サイクルとか60サイクルと表現します。
電化製品ではAC100V 50/60Hz のように書かれていると思いますが、これは日本全国どこへ持って行っても動かせる製品という意味です。
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乾電池(直流1.5ボルト)
次は直流の代表格、乾電池です。
交流のような波ではなく、一定の高さ(この場合は電圧1.5V)を維持し続けています。
電池が少なくなってくると次第に降下していきます。乾電池に限らず充電可能な蓄電池(二次電池と言います)など、バッテリーと称されるものは全て直流電源として扱われます。
大容量モバイルバッテリー等ではACコンセントの出力を持つものもありますが、この場合も出力付近でDC/ACコンバーターによって交流に変換されているだけで中身は直流蓄電池です。
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何故最初から直流で送電しない?
家電製品は殆ど直流で動くのに何故コンセントは交流で提供されているのか・・
交流の送電はコストが安くすむ点と、事故時にすぐ遮断できるのがメリットです。
交流は電流の開閉が容易ですが、波が0Vを通過する零点の存在が大きいです。
また、交流は変圧(電圧の変換)が簡単です。
鉄道では新幹線以外にも交流で送電している路線はたくさんあります。
鉄道での交流送電事情ですが交流送電は地上の変電設備の数が減らせるメリットがあるため人口密度の少ない地域を走るローカル線に多いです。
交流線区を走る電車のパンタグラフ付近を見て下さい。
屋根の上に小さい変電設備が確認できます。
ところで送電線は高電圧… 一般的に知られていることですが、何故送電線は高電圧にするのかはあんまり説明されていないようです。
高校の物理で習う範囲ではオームの法則と結びつけて電圧が高い方が送電損失が少ないとしか触れませんが、確かにそれで説明は完結してしまっています。
そこでもし◯◯ならば…という仮定でそれはどんな姿になるのかをイメージすればわかりやすいと思いますが、
もし低い電圧で送電しようとすると大量の電流を流す必要がでてくるので先ずは太い銅線が必要です。
送電線のビジュアルが大きく変わるくらいの太い線が必要になりますが、同時に重たくなるので空中をはわすことなどできなくなります。
(高電圧なら送電線を細く軽くできます。)
送電損失の話は現実にはもう少し複雑なのですが、専門的な計算式を端折って説明したものが、高校物理の「高電圧にして送れば送電損失が少なくなって有利」という表現です。
まとめです。
送電には高電圧が有利。
直流の変圧はけっこう面倒。
直流は零点がないので遮断が大変。
なので…送電には交流が使われている。
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-12Vのマイナスって何?
自作PC用に買ってきた電源(ATX電源)を確認したら、+3.3V、+5Vや+12Vに混じってー12Vの出力もあったけれど、このマイナス12Vってどういう意味?
プラスとかマイナスの表示があるわけですから直流であるのは間違いありません。
電圧というのは相対的なものです。
どこかの基準に対してプラスあるいはマイナス◯Vの電位を持っているというだけの意味です。
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結論から言えば、使えます。マイナス1.5V電池として・・・・
電池の場合、マイナスの端子の方を基準0Vにすれば突起のあるプラス側は+1.5Vとなりますが、もし突起の端子を基準0Vとして扱うならばマイナス端子は−1.5Vを取り出せるということに・・・・
下の図は、乾電池3本の中の1本が逆を向いていた場合(マイナス1.5Vとして作用)のモデルです。
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整流器 (たとえばACアダプターの中身)
最後に交流を直流にする方法を紹介しておきます。
整流器の基となる整流作用には上の写真のような一つの部品で完結するものが存在するので通常はこれを組み込むだけですみますが、それではどういう仕組みで交流を直流にしているのかを知ることができません。
ここでは、基本的なことについてのみ解説します。
まず…整流器には次の2種類の部品を使います。
その1・ダイオード
ダイオードは電流が一方向にしか流れません。
※下の図でわかりやすく表現すると+は左から右へ。ーは右から左へ向かうと考えれば良いです。
その2・コンデンサ
コンデンサは電気を蓄え放出する電子部品でキャパシタとも言います。
※この部品が蓄電/放電を行うことで遅延が発生して波をなめすと考えれば良いです。
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この2種類の部品を使って整流器を最もシンプルに構成したものが下の回路図(ブリッジ整流)です。
ダイオード4つとコンデンサ1つでできています。
整流を行っているのはダイオード4つ
そして乱れた波をなるべく直線に近づける(平滑化)ためにコンデンサを使ってます。
左側が交流の入力 ・ 右側が直流の出力
ダイオードは回路ではこの記号を使いますが、ちょうど矢印のカタチをしているので覚え易いです。
この矢印の方向に電気が流れる(プラスが先に進める)と考えれば良いです。
逆に矢印の反対側からはマイナスが先に進めるということです。
※電子の動きと電流の関係は違いますが、ここでは無視しても構いません
回路をじっくり見ていけばわかると思いますが、
交流電気の+と-の交互の繰り返し。
ですからサイクルに合わせてプラスとマイナスを振り分けてそれぞれ+の出口とーの出口へ誘導すれば交流を直流に変換することができます。
1 . ダイオードが+のみ、-のみを振り分けてそれぞれの出口へ誘導します。
2 . ダイオードの出口では波が隣接している状態(脈流と呼びます)でそのままでは直流として使えません。
3 . コンデンサの蓄電機能で、充電/放電をさせると波の隣接が穏やかになります。
もちろん実用のためにはもっとキレイな直流を作るための平滑回路を置きます。
でも整流回路の原理はこれで全てです。
2020年3月12日追記
以前三重県ケンミンショーに投稿したものです。
人生で初めて交流を直流にする「整流器」を機械的に考えて作ってみた顛末はこの動画の48:55あたりから読まれています。
※これはライブのアーカイブなのでYouTube側で再生するとチャットコメントも見れます。
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テーマ募集
デジアカMac部 毎週日曜22:00〜23:00
この1時間枠を自由に使って持ちネタを披露して下さい。
Mac部 部活ですからネタの傾向としてはPCやスマホ・各種ソフトの話題・インターネット等のITがらみのものが中心になると思います。
講座形式でも話題のキッカケ提供(種仕込み)でもオッケーです。
何れの場合もブログにまとめなくてもノートに箇条書きして部活時間に配る程度のもので大丈夫だと思います。
それ以外に、、、疑問に思ってる話題・気になっている話題のような皆へHELP的な内容でも良いと思います。
1時間の時間をもたせることができればオッケーです。
雑談とわけるため、 この場合でも最低限ノートにまとめて時間前に配布というスタイルは通して下さい。
※やる内容がまとまったら1週間前の部活の時にお知らせ下さい。
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番外
本日のテーマと全然関係ありませんが変わった製品を紹介していくコーナーです。
最初は、YAMAHAのホームコンピューター YISです。
専用の家具調キャビネットに収めると家の中で目立たない・・・
周辺機器のひとつにレーザーディスクもあって、YISから動かしたりキーボード(鍵盤)を接続して演奏データの収録・編集もできたそうです。
フロッピーディスクは320KB×2基でハードディスクはナシ。
ホームコンピューターとして個人を対象にした製品の筈ですが、 本体・モニター・キーボードの(キャビネット無し)基本セットで110万円程度。
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YAMAHA YIS |
この記事は公開設定になっていますがSecond Life デジアカMac部の部活1時間枠用として部活時間に捕捉説明を行う前提のメモとしてまとめていますので(記事のみ参照を避けるため)記事の転載及びリンクはお断りします。
また、デジアカMac部 部員の方以外のコメントもご遠慮下さい。
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