2019年2月24日日曜日

デジアカMac部・2019年2月24日

今回のテーマはWYSIWYG(ウィジウィグ)です。
一般に広まった単語とは言えませんから聞きなれない方も多いと思いますが、コンピューターのユーザーインターフェースのひとつです。

これは画面で見たままのものが得られる What You See Is What You Getの頭文字をとっていますが、画面で見たままのもの…って疑問に感じるかもしれません。

例えばワープロで文書つくって印刷して違うものが出力されるなんて普通は思いません
そんな…あたりまえの・ことを・何でユーザーインターフェースとして意識するのか・・・

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WYSIWYGが言葉としてあまり一般に広まらなかった大きな理由は3つ考えられます。

1.WYSIWYG思想を持たないWindowsが大多数を占めたから。
2.画面で見たままが得られるのは…あたりまえすぎるから真意が伝わらなかった
3.画面の高解像度化がすすんだから。

この3つの理由を見て、じゃあWindowsは画面で見たままのものが出力されないのか!?
見たままが印刷って…当たり前のことなのに実は裏があるの???
モニターの解像度が上がるのって良いことじゃないの?? って思うかもしれません。

今回のお題は本物のWYSIWYG・妥協したWYSIWYGを経て認識が変わったWYSIWYGの姿を紹介します。


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先ず、定義としての本物のWYSIWYGとはどういうものなのかを知っておいて下さい。

冒頭で触れた通り、画面で見たままのものを出力結果にも反映させる全体の流れを司る仕組みのことをWYSIWYGと言いますが、一番身近な例としてモニター画面とプリンターの関係で見ていきます。

【歴史上での経緯】
Macintoshは完全なカタチのWYSIWYGを提供していましたが、そのコアの部分をQuickDrawという描画用APIが担っています。
QuickDrawはMacintoshの前モデルであるLisaの時点で完成されていたもの(LisaGrafと言います)ですが、 それを更にチューンしたものと言えます。
そしてこのQuickDrawを実装したソフトウェアがWYSIWYG対応ソフトと言うことになります。

QuickDrawは単位の扱いを72dpiとしたためプリンター出力も144dpi・216dpiということになります。
尚、プリンターはQuickDrawドライバーによって動かすことになります。
この場合PostScriptプリンターは対象とはなりませんが、PostScriptがハードウェアメーカーが作った技術でないことに目をつけたジョブズは出版方面でもWYSIWYGを成立させようと先ずは手本としてApple自らWYSIWYG対応PostScriptレーザープリンターを出しました。

【つまりWYSIWYGとは】
それはともかくとしてWYSIWYGが何をもたらすのか簡単に言うと…
WYSIWYG対応ソフトで画面に表示されているもの(例えば何かの文字タイトルとか図形)を画面上で定規で測ってから印刷した場合、それらも画面上で測ったものと同じサイズで出力されていることになります。

ものすごくシンプルなことなのですが、現在これを行うのは極めて困難かつ特殊なことになります。
但し当時のモニターディスプレイ…と言うより「グラフィックカード」はRGB32階調(32768色)止まりのものも多く色の定義においては発展途上的なものだったと思います。
※現在はRGB256階調(16,777,216色)が一応のデフォルトですが、内部処理なども含めればRGB 65536階調(281,474,976,710,656色)まであります。

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現在これを行うのは難しい…って。。
実はもう殆ど本物のWYSIWYGは失われてしまっていて私達が見ている姿は妥協したWYSIWYGになります。

但し、ここには解釈の違いがあって、現在の色再現性の精度と高解像度の環境で得られるものこそが完成されたWYSIWYGだとする意見は多いです。

そもそもWYSIWYGという考え方が誕生した時代のモニター解像度は9インチの512×384〜20インチの1152×870です。
これは512×384ピクセルの9インチ画面(Macintosh ClassicII)をスクショで撮ったものですが、20インチの1152×870にしたところで、現在ではやっぱり作業領域が狭く感じると思います。

つまり、当初QuickDrawで扱われていた72dpiのまま作業領域を増やそうとしたらものすごく(物理的に)大きなモニターが必要になってしまいますし、Retinaみたいにピッチを極限まで狭くしていける現在、、72dpi(ppi)を維持したままでなんて無意味なディスプレイを製造するとは思えません。

結局、当時のWYSIWYG(正確に表現するならQuickDrawで提供されてたWYSIWYG)は仕様的に時代遅れになってしまったんだと思います。
だって、ブラウザのネットスケープ1.13すら動かせないようなOSの時代からあるようなシステムですし・・・
※ネスケを起用しようとした時にMacintosh ClassicIIに表示されたアラート


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で、結局WYSIWYGはどうなってしまったのかと言うと、私達一般ユーザー環境上で一番気になる挙動もろもろはスルーでオッケーです。
そもそも見たままのイメージが出ていないわけではありませんし実寸云々が除外されても殆どの作業においてたいして影響がありません。

また、最近は家庭でのプリンター出力が減りましたから何か不都合があっても気付かない・あまり気にならならいんじゃないでしょうか。

インターネットが発達したことでWebによる情報伝達(出力先がモニターディスプレイ)となりましたが、こちらの不備が私達にとっては切実です。
Windows/Macintoshの違い・ブラウザとそのバージョン・ プラグインの有無…etc 表示の互換性に問題を起こさせる要素はたくさんあります。数え上げたらきりがありません。

現在のWYSIWYGはWeb絡みが多いと思います。
WYSIWYGの解釈の範囲が広く(緩く)はなりましたが、一般の人がわかりやすいモノになったんだと思います。
例えばWebでのCMS… ブログやSNSもCMSの一種ですが、見たままの画面で編集を行い公開できる仕組みはWYSIWYGであると言えます。
と、言うより現在一般的にWYSIWYGと呼ばれるものはCMSを指しています

頭でイメージした画面レイアウト・機能の組み込み云々全てが満足できるようにhtmlコードを書いていった時代に比べたら、画面上で視覚的・感覚的に作業が行える環境はWYSIWYGと呼んでも違和感ありません。


そんな感じで…今の感覚・これからの感覚で考えていくと”画面で見たものが制作したもの”が目的の場所へそのまま再現されるのならそれはWYSIWYGだと言えると思います。
目的の場所は ネット上のどこかへ…でもいいですし、紙出力でも3Dプリンターでの立体出力でも・・・


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