季節的に既に撮れなくなってしまったものは過去素材に置き換えていますが、説明用として撮った写真ではないので少々わかりにくい部分もあると思います。
今回紹介する野草は全て食べられるもので、実際に採取&実食しているものの紹介ですが、地域や環境によっては説明にある野草が全く見つからないということは普通に考えられますのでご注意ください。
※いつも通り "解説テキストの量が多い内容" ですがこれは後日読み返しを考えて情報省略ナシで作っているためです。部活の時間内では要点のみの説明と質問を受け付ける流れとなります。
・アカツメグサ ・セイヨウアブラナ ・ハルジオン
・セイヨウタンポポ ・ヒメオドリコソウ ・カラスノエンドウ
(撮影地は全て江戸川沿い)
ではさっそく始めます。
1. そもそも野草って何?
普段の食生活の中で「 野菜 」と言えば誰でも知っている通り食用として流通・お店に並べられている草本植物・人が畑でつくる(生産調整された)作物のことを言います。
・ 一方、自然界に自生するものとして 野草 や 山菜 という表現が用いられますよね。
一応…「野草」の中で食用可のものを「山菜」と呼ぶこともありますが、言葉通りに山野に自生する食用可能な野草のことを山菜と呼ぶ方が適切だと思います。
- 野草→自然界に自生する草全て(食用可・薬草・毒草がある)
- 山菜→山野に自生する食用にできる草
今回ここで紹介する野草は全て平野部で採取しているものなので、”野草”表記を用います。
2. いつ・どこで採れるのか?
野草採取に慣れると「どういう場所に自生しているか」勘が働きますし野草ごとの独特な香りも憶えているものなので個体を視認する前にこのあたりに○○がある!と気付けますが、その経験値がない最初の頃は先ずは道端を見ていくのが良いと思います。
道端は生活ゴミ残滓や犬のおしっこが土に染み込んでいるせいか生育の良い植物が目立つエリアだから。
もちろん、道端に自生できる野草はごく一部で全てではありませんし、もしそこで目的の野草を見つけても触る気にはなれない & 食用を考えることはないとは思いますが、情報収集としてその姿形と環境をよく確認しておくことが重要になってきます。
主に(その時期で)何が生えてきてるか?・葉の形や大きさ・周囲にどんな草が生えているのか?…の3つの確認をして下さい。
2-1 平野部の主な野草(採取カレンダー)
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2-2 地域・採取域で違いがあります
株の大きさなどは地域環境で大きく違いが出てくるものでそれほど注意を傾けなくても良いのですが、今はどんな草が出てきてるのか?葉の形等はよく見ておいたほうが良いです。
藪に突入する前に「今は○○が出てきてるな!」ってことを知ることができますから。
葉の形や大きさですが、自然界には似ているものがけっこうあるのでそれは本当に目的の野草なのか? 現実には採取経験を積んでいくしかありません。
例えば野草の代表格であるタンポポは交雑種ばかりなので葉の形や生え方…ロゼットの形のバリエーションがとても多い他、タンポポっぽいけど実は別種…等々メジャーなワリに意外なくらい見極めが難しい植物です。
2-3 アレロパシー(他感作用)
ヘラオオバコとタンポポ |
自然界の植物は根域の取り合いをしています。
これは自分(あるいは自分達のコロニー)の場所に近付いてほしくない他植物への拒否シグナルですが、主な方法としては根から化学的成分を分泌し近くにある別種種子の発芽を阻害したり成長を妨げたりさせます。
これをアレロパシーと呼びますけれど、その一方で特定の動植物に対しての引寄効果もあります。
・ つまり共生してるかのように一緒に交わる植物ペアも存在しますから採取経験をつむと○○がある場所には□□がない…△△があるところでは同時に◎◎が生えている可能性がある等、「見つけるポイント」がわかってくるようになります。
・ 見事にコロニーがわかれていたり逆に共生してたりしますから採取する人間にとっては目的の野草を見つける目安にもなって都合が良いです。
2-4 結局どこを探せばいいの?
これはもう環境次第なので○○に必ず○○が生えていると断言はできません。
当然のことですが野草ごとに採取可能な季節があり好む環境(例:水域近くを好むものは当然水辺にあります)とか自生しやすい環境がありますが、土壌や時間帯での日当たり具合その他様々な要素が絡んでくる問題ですから自分で色々な場所に突入していって丹念に調べていく他ありません。
・ 条件が全て揃っていても、そもそも種子が運ばれてきていなければ根付くこともなく自生もないです。
その一方で条件が揃っていなくてもある程度の順応性(必要条件について妥協してる)があるため意外な場所で見つけることもあります。
つまり最初のうちは「偶然見つけた!」という経緯が殆どだと思います。
・ でも、種子がどういう感じで運ばれて来たのか?適する周囲環境は?等がわかるようになれば(たまたま見つけた)その野草がどうやってここに来たのか推測できますし、他の場所でもあのへんにありそう〜という勘に結びつけることができます。
2-5 河川敷・堤防を例に野草自生域を推測する
平野部で最も野草が多いのは田園と河川沿い…整備河川の場合は高水敷と法面です。
広大な田園は郊外でないとなかなか見られないでしょうからここでは河川について説明します。
※今回のコンテンツは川沿いから集めたデータで制作しています
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・ 河川堤防・川沿いを採取地として考えた場合、先ずは目の前の川の向き…つまりは太陽が朝〜夕方にどういう軌跡で動いて地面を照らすか日陰になるのかをよく観察しておいてください。
2-5-1 【河川堤防の構造】
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2-5-2 【河川堤防の断面図】
- 太陽位置:法面の日当たり具合については川の向きと一日の太陽の動きから想像して下さい。一方、高水敷は川の向きに関係なく太陽の光を受ける時間が長めです。
- 風の流れ:法面はその斜面に沿って風の流れがあるので軽い種子のもの…タンポポの綿毛などは法肩付近に多く落ちるようになり、そこで発芽することになります。
- 堤防天端道路の脇(法肩)付近:ここは犬のおしっこの影響でしょうけれど植物の成長が加速されています。風の影響もありタンポポが多く見られます。
- 高水敷(法尻寄り): 河川作業道路がつくられてる場合があります。
- 高水敷:一般的に河川敷と呼ばれている部分。水辺まで500m以上の幅があることも。
- 高水敷水辺:当然のことですがここは水分量の多い土となるので、田んぼの畦道と同等と考えられます。具体的には春の七草の一つ「セリ」が多く見られます。
- 法面の土は浅いです:整備河川の法面は”法面崩壊防止”のためコンクリートキャンバス等で補強されていますが、その上に盛り土をしている場合も多く、そこに自生する野草があります。…が、土が浅いため長い根の根菜採取は期待できません。
2-6-1 【堤防敷・堤防天端】
堤防天端にはたいてい道が作られていて、それを「堤防天端道路」と呼びます。
多くの場合、徒歩・自転車専用道路として利用されています。
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(対岸の千葉県野田市側は江戸川堤防天端道路L・江戸川サイクリングロードです)
2-6-2 【堤防敷・法面】
堤防の斜面の部分を法面と呼びますが、川側の川表と人が暮らす側の川裏があります。
下の写真は河川増水による決壊を防ぐ(斜面を緩やかにする)対策工事済みのものです。
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何れも撮影は晩秋…除草後しばらく経ってからなので生い茂る草もなくスッキリしています。
普段は1m〜の背の高い草で覆われています。
※この場所で撮った360度写真(Street View)はこちらです。
2-6-3 【高水敷】
高水敷は除草されず放置されていることが多いので木々や背の高い草がたくさんあり、ハッキリ言って藪です。
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動画尺:17秒
尚、整備河川域はたいてい発砲が禁止されているエリアですからいくら藪の中に潜って行ってても間違って撃たれる心配はありません。
また、高水敷の水辺付近は頻繁に蛇に遭遇しますが寸胴で短い(50Cmくらい)蛇さえ注意しておけば大丈夫だと思います✿
※人間の方から危害を加えない限り襲ってくることはなく逃げて行きますが、間違って踏みつけたり草を払い除けた先にいると敵対と認識されるので西陽があたる水辺に近寄る時は万が一に備えて履物や服装に注意して下さい。
※水辺から少し離れたとこでは1.5~2mくらいの蛇をよく見かけますが、大きい蛇は特に心配ありません。
・ 高水敷も全てが藪というわけではありません。
場所によっては多目的広場・滑空場として整備されていたりその他の理由で定期的な除草の入る箇所もあり日当たりの良い環境を好む野草を発見できます。
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高水敷に咲く西洋油菜(川の対岸まで30箇所程度Street Viewで撮ってあるので時間があればどうぞ) |
注意 高水敷は増水時に間違いなく水没してしまうエリアなので、上流で大雨が降っている時や台風前後などは近寄らないようにして下さい。
台風が去った4日後の写真(多目的広場として整備されている場所です)
上の方にある木のところまでが高水敷(川はその向こうにあります)
手前の手すりに草が絡みついていますが、ここまで増水していたことになります。
3. 野草を食用する場合の注意
自然界から採取してきた草なんか食べてお腹こわさないのか?
そう考えてしまう方は普通に多いと思います。…ので、正直なところを書いておきます。
1.最初は少量ずつ試して下さい。
もし自然界採取モノに慣れていないのなら最初は少量ずつ試すのをおすすめします。
私自身、自然界採取モノと人が栽培してる野菜類はかなり違いがあるのを実感していますが自然界のは振れ幅が大きいです。
人が管理し栽培されている一般的な野菜と違って野草は環境・採取時期での味の違いが大きいですし個性も強く味がとんがってる・クセもあると思います。
(アクが多いかどうかはその植物次第なので栽培もの・自然ものの差異はありません)
2.味付けに注意して下さい。
普段から添加物での味付けに慣れさせられてる現代人の舌にとって自然界モノは別ベクトルで直球すぎるので意識していないと調理の際の味付けがとんでもないことになってる可能性があります。
・ 添加物慣れした舌で普段の料理はうまく調整できていても、個性の強い自然食材に対しての味付けの目安はおそらくわからないと思います。
慣れていない強い野草の味をマスクしようとむやみに調味料増やしてしまうのは身体に良くないですからね。
何れにしても自然界採取モノの味を知ることは味覚範囲を広げる上でけっこう大切だと思います。
〜 ここから下は各野草についての解説です 〜
4. 蒲公英(たんぽぽ)
4-1 採取可能な時期
- 外来種のセイヨウタンポポの場合はほぼ1年中
- 在来種のニホンタンポポは春・秋
4-2 タンポポの概要
どこにでも生えているという意味でメジャーな野草のタンポポですが、大別して日本には在来種の日本蒲公英(ニホンタンポポ)と外来種の西洋蒲公英(セイヨウタンポポ)があります。
ほぼ一年中採取できるものは西洋蒲公英なのですが、海外ではサラダとして生食もされているもので(日本では外来種であり雑草扱いですが)主に食されているタンポポと言えばこの西洋蒲公英です。
・ 地域・または環境によってはニホンタンポポ(関東蒲公英・関西蒲公英・白花蒲公英・東海蒲公英)などの在来種が見られると思いますが、ニホンタンポポは季節が限られていてその数も圧倒的に少ないです。
なので、1年を通していつでも見かけるものは外来の西洋蒲公英だと思って間違いありません。
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ひとくちにタンポポとは言っても西洋蒲公英などは数十種以上が存在していて更に交雑種も混ざってくるため厳密な分類は私達素人の手にはおえません。
でも、何れも食用可ですからそこはスルーでも良いと思います。
4-3 タンポポはどこで採れる?
日当たりの良い場所なら普通に生えていますが、宙に舞った種子(綿毛)が落ちやすい場所をイメージすれば見つけやすいと思います。
上述の河川堤防でしたら法面(斜面)でも堤防天端に近い場所… (風が下から吹き上げてて綿毛が落ちやすい)法肩付近に多く見られます。
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・ また、タンポポは一株見つけたらその周囲にかたまって生えてます。
ロゼットの直径は20Cm〜大きいものだと60Cmくらいになります。
タンポポの根は日本でも流通していてそこそこの価値をもつ部位ですが、自然界に自生しているタンポポの根を掘るのはかなり重労働です。(どこで諦めるか…というニュアンスです)
ですので基本は土から上の部分の採取に的を絞ったほうが効率的です。
※下の写真は詰んだ葉と掘り出した根
4-4 タンポポは判別しやすい? 判別が難しい??
タンポポは環境による変化や交雑種の多さもあって自然界では様々な姿を目にすることになります。それらはタンポポのバリエーションであったり別植物であったりします。
- 葉柄が赤紫色
- 地面に這うような超扁平 & 人工物のように整った放射状(ロゼット)
- 葉が櫛状になっていない…等々
※1 ジシバリ・タビラコ・ブタナ・ノゲシ・アザミなど
葉に触れてみて抵抗を感じるならタンポポです。慣れてくると離れていても香りでわかるようになります。
・ 尚、タンポポはロゼットで丈はそれほど伸びませんが付近に繁茂する丈のある植物の陰に入った場合はなるべく日光を受けようと葉柄部分も伸びる傾向があるようです。
日陰では葉身の面積も広くなりがちですが場合よっては櫛葉ではない幼葉・中間葉のままかなり大きい株個体になっていることもあるので、最初は(それがタンポポだとは)識別できないかもしれません。
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←発芽から約半年くらい経つまでは葉が幼葉で、その次の段階の中間葉もハッキリした櫛状にはなりません。 最終形態の本葉にならないと櫛状にはならないので、タンポポ採取をしていると写真のような葉はわりとよく見かけると思います。 |
尚、ブタナはタンポポモドキと言われるくらい特にタンポポに似ているのですが、これも食用可ですから間違って採ってきてしまってもそのまま料理に使って大丈夫です。
ただ、アザミなどは味の方向性がタンポポとは違いますし適した調理法も変わってくるのでそこは認識しておくと良いと思います。
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※アザミも根・葉とも食用にできます。葉はかなり美味しいのですが産毛の生えてるアザミは毒があるのでこれは採取しないで下さい。
番外:帯化タンポポ
2015年4月15日・金野井揚水機場付近 …地下神殿のそばで見つけました。 花の下の扁平状の茎の幅は約5Cm ※食べてません。 |
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4-5 タンポポの可食部
- 根(たんぽぽコーヒー・天ぷら)
- 葉(天ぷら・サラダ・お浸し・炒めものその他)
- 蕾(天ぷら・お浸し)
- 花(天ぷら・お浸し)
カフェインレスのコーヒー用として根は売られていますしこれは比較的メジャーですが、葉や花を食するのはアウトドアで食材確保を楽しむ方以外にはあまり知られていないようです。
でも海外では葉を食する文化が普通にあり高級食材として扱われています。
4-6 タンポポ採取について
タンポポは上から下まで全てが食べられますが、採取は次のように行います。
- 花・蕾:手を使って一つずつ摘み取る。
- 葉:根本近くから一枚ずつ手で摘み取る。
- 根:細長いスコップで掘り出す。※但しとても困難で時間がかかります。
葉を一枚ずつ採取していく方法に変えてからは洗浄の手間が1/30程度に減った実感があります。
4-7 タンポポの食べ方
天ぷら・炒め・お浸し・マヨ和え…色々食べ方はありますが、そもそもタンポポの葉ってどんな味の食材なのか? それを確認しておくことは重要なので初めてタンポポ葉を食べる場合は事前に以下のことを試しておいて下さい。
味覚的には”苦味”ですが、他食材では味わうことのできない独特の苦味でいつまでも咀嚼していたくなります。かなり美味しです。
4-7-1 【たんぽぽサラダ】
写真は自宅の庭で採取したタンポポですが若葉ではないので湯引き(一瞬熱湯にくぐらせてすぐ冷水で冷ます)して繊維を緩くしています。
ベビーリーフ(若葉)ならば完全生の方がオススメです。
…とは言ってもタンポポ葉の生食は日本人の口に合わないと思うので参考程度に書いておきます✿
・ 標準的な日本人の味覚前提で表現すると「すごく苦い草の味」です。
日本の一般的なサラダの味からはかなり遠いのですが、でも海外で味わうサラダの中には「これ…草そのものなんじゃ?」と思うものも確かにあります。
私自身、海外エアラインの機内食とその目的地で草の味しかしないサラダを食べた経験があります。
※タンポポは独特の苦味がありますが、サラダ(生食)はむしろその苦さを最大に愉しむ方法です。
※スーパーに並ぶごく一般的な野菜でも加熱して解毒の必要があるものがいくつかありますがタンポポは生食可能な食材です。
※生食を試したい場合は下の方で紹介しているオリジナルドレッシングで試してみて下さい。
4-7-2 【たんぽぽの天ぷら】
高温にさらす天ぷらの場合、その苦味がほぼ消えますが風味は味わえます。
タンポポの葉が数枚もあれば一食分のおかずになるので採取量が少なくても大丈夫です。
- 洗浄後、水分を拭き取ります。
- 小麦粉7:片栗粉3・同量の水で溶いておく(天ぷら粉で代用する場合は別途打ち粉が必要)
- 溶いた粉にくぐらせてすぐに高温で(葉・花・蕾は短時間厳守)揚げます。
- 一般的に野菜は170℃下回るくらいの低温揚げですが強く風味を残す場合は高温短時間で!
- 塩もしくは天つゆなどで普通にいただけるおかずになります。
※天つゆの作り方については後でふれます。
4-7-3 【たんぽぽマヨ和え】
たんぽぽ葉の食べ方として一番お気に入りなのがたんぽぽマヨ和えです✿
むかしタンポポのお浸しを作っている途中で考えたものです。
本来の苦味を残せるので咀嚼する楽しみが得られ個人的に一番気に入っている調理法なので工程の写真入りで紹介しておきます。
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- タンポポは虫による食い荒らしもないので洗浄は埃を洗い流す感じで大丈夫です。
- 向きを整えながらザルにあげていき、その後食べやすいサイズにカットします。
- Na+でクロロフィルを安定させるため1〜2%の塩を溶かしこんだお湯で茹でます。
- 再沸騰する直前で火を止めザルにあけ水で急速に冷やす。
- そのあと軽くしぼってボウルに投入。
- 少量の調味料(※1)を加えて混ぜたあと少し時間おいてマヨ加えて和える。
- 最後に軽くごま油を加えます(風味付け程度にほんの少量でOK)
※2 タンポポは油分があったほうが食べやすいのでマヨネーズを加えています。
※3 マヨネーズは自家製ですが、油はこめ油:ごま油(6:4)がベースです。
※4 天ぷらと違いかさ増し不可なので数十枚程度のタンポポ葉を用意する必要があります。
5. アブラナ(西洋油菜・白菜・カラシナ…)
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5-1 採取可能な時期
- 葉茎採取は11月初旬〜翌2月中旬頃まで。
- 青菜採取は2月中旬〜3月中旬頃まで。
・ 最初に曖昧さの存在をお知らせしておきます。
春の菜の花…は有名ですが、これは食用の花という意味で植物の固有名ではありません。
そしてアブラナ科アブラナ属の花の総称でもあるのでそれに含まれる植物自体とても多いんです。
・ ”菜の花”として春に見かける黄色い花の正体が何であるかは地域・環境によって異なってくるのでその点は認識しておいて下さい。
実のところ自然界自生モノの大部分は普通はセイヨウカラシナのようです。
…が、私が採取地として訪れている南北40kmの範囲ではセイヨウアブラナ&紅菜苔が多いみたいです。
・ ですのでここで紹介している…実際に採取&実食しているものは、セイヨウアブラナ・セイヨウカラシナ・白菜・紅菜苔が混ざっていますが、ここでは「アブラナまたは菜の花」として一緒くたに扱っています。
ともかく細かい分類で分け隔てての採取はしていません。「菜の花」の定義はこちらをご覧下さい。
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・ 菜の花摘み(アブラナ採取)は通常、花が咲く前の蕾と若い茎葉部分… これを「青菜」と呼びますが、スーパーなどで売られているものはこの部分です。
但し、単に青菜と言うとほうれん草・小松菜・チンゲン菜、空心菜、タアサイ、春菊を指すのでお店に並べる時は明確に”菜の花”表記が付くと思います。
・ 尚、厳密には食する部位によっても呼び方が変化します。
花茎を目的とした場合は「菜の花」ですが葉茎を目的とするなら「菜花」と呼びます。
(私は根〜花まで全部いただくのでアブラナ呼びしていますが・・・)
5-3 アブラナはどこで採れる?
日当たりの良い広い場所によく自生しています。
河川堤防で言うと第一候補が「高水敷」そして日当たりが良い側の斜面「法面」です。
- 日当たりが良い場所
- 水分量が多く同時に水はけが良い場所
堤防天端の両サイド… 法面に自生するセイヨウアブラナ。
撮影地は埼玉県吉川市ですが、川に沿って両岸を40kmほど調べた結果、どうやら千葉県野田市の江戸川沿いがメインのようでそこから対岸の埼玉県側に拡大していったものに感じます。もちろんこれは局所的な情報でしかなくセイヨウアブラナは全国に自生しています。
それでも「なのはな体操」がある千葉県は菜の花が多いイメージがあります。
5-4 アブラナの可食部 -1
「菜の花のお浸し」などはけっこう一般的ですから、どこが可食部になっているのかは簡単に見当がつくと思います。
”蕾とその付近の若茎葉”が可食部となっています。…と、いうことは花が咲いてしまったら採取のタイミングを微妙に逃していることになりますね。
まぁ何割かが開花してても少し妙な風味が混ざる程度なので食材として使えなくなるわけではありません。
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5-5 アブラナの可食部 -2
そして、全く一般的ではありませんが(食例を聞きませんが)根も食べられます。
アブラナの根は下茎の一部が肥大化した根茎に見えますが、春に花を咲かせるための十分な栄養素を蓄えておく貯蔵器官でヒゲ根も生えていますから役割としては間違いなく塊茎だと思います。
・ ですが正直正体が不明なのでここから下では根茎と表現しています。
で、肥大化した根茎を土から掘り出す採取となります。
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5-6 アブラナの可食部 -3
これも同じく食例を聞きませんが、冬季の”葉”を食用として採取です。
根を掘るシーズンの土から上の部分は”菜の花”の春とは全く違う姿をしていて、ロウを纏ったように葉が光を反射していたり赤紫色だったり直径1mほどのロゼットになってることもあって異様な雰囲気を放っていることもあります。… その葉も食べられます。
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5-7 アブラナ可食部のまとめ
- 蕾&若茎葉(お浸し・天ぷら・佃煮・炒め物)
- 冬の根茎(煮ふくめ・素揚げ・炒め物・浅漬け)
- 冬の大きい葉とその茎(炒め物)
ただ、緑が少なくなる冬期に確実に採れる大きな葉という意味で貴重だと思います。
他で食例を聞かない根茎の調理例が多いのは…色々検証した結果です。(美味しい順です)
5-8 アブラナ採取について
「菜の花」と言えば春の味覚なのですが、アブラナという植物全体で見た場合は上記でも触れている通り、目的の部位によって採取時期(晩秋〜晩春)が異なってきます。
- 蕾&若茎葉:手で一つずつ丁寧に摘み取る。
- 冬の葉:根本近くから一枚ずつカマを使って摘み取る。
- 根茎:ひっこぬくだけ。(肥大化した根茎が土の上に露出していることもある)
・ 蕾&若茎葉は一般的に商品価値が認められている箇所ですから採取及び調理に関する情報を集めるのは容易だと思いますが、冬の葉と根を採取する際は次のことを意識して下さい。
葉はロウを纏っているので太陽光を反射します。(遠くからでも発見しやすい)
根茎は春が近くなると貯めていた栄養を上に移動させるので痩せていきます。
・ 採取にあたって細かい分類は考慮しないと前述していますが、厳密にはアブラナとカラシナでは二年生植物・越年草の違いがあるのでそれは採取できる根の大きさにも影響してきます。
このページに貼っている根は間違いなく二年草である西洋油菜・紅菜苔で、冬期に掘り出せる根がそのぶん肥大化しています。
5-9 アブラナの食べ方
アブラナと言うより「菜の花」の表現の方が適切ですが、花が咲く前の蕾・若茎葉はメジャーな食材ですから検索でいくらでもレシピは見つけられると思います。
これはお浸しにするのが一般的ですが、他にも天ぷら・佃煮・炒め物と色々楽しめます。
ここで紹介する”お浸し”は幾分オリジナル要素が入っていると思いますので、参考程度に見ておいて下さい。
・ 一方、肥大化した根茎については私が始めた当時(2012年)は食例が見つけられませんでした。
チャレンジされてる方が他にいたとしてもどういう扱い・もしくは調理をしているのか情報が見つからず不明なのですが、私自身浅漬け…つまり生食も試しているので少なくとも毒ということはないと思います。
むしろ美味しい食材だと思うので機会があれば試してみて下さい。
5-9-1 【菜の花のお浸し】
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私は採取に出かけると一度で2〜3kg程度は採取してくるので、単にお浸し作るだけでも食材の量を気にせず色々な方法試してきました。それで落ち着いたのがここで紹介するレシピです。
- 洗浄後、向きを整えながらザルにあけて軽く水気をきっておく
- 鍋に十分なお湯をつくっておく(クロロフィルを安定させるための塩は湯量に対して2%)
- 沸騰したお湯に全量を同時投入。ゆっくり茎の方から沈めていく。
- お湯に全てが浸かった状態から30秒でザルにあける(※1)
- 即、氷水(または流水)で急冷を行う。これを行わないと予熱で軟化が進行する。
- 十分冷めたら水気を切って向きを整えながら数本束にして適当なサイズにカット。
- カットした状態のものをタッパーに並べていく。
- 全部並べ終わったら蓋をして一旦冷蔵庫で待機…
十分冷めたら冷蔵庫で待機させておいた菜の花が並べられてるタッパーに投入〜 今度は汁を染み込ませるため最低1時間以上は冷蔵庫に入れておいて下さい。
※ もしも茹で汁を全部捨ててしまったら、別途出し汁を作ってそれに醤油を入れて下さい。
・ これで一応の出来上がりなのでここで止めてもいいですが、食べる時に少量のマヨネーズをかけると美味しさアップです。
※ マヨネーズは料理に合わせてその都度使用する油・その他の調合変えているので市販品を同じように菜の花お浸しに使用しても美味しいのかは試していないのでわかりません。
※ 料理に合わせたマヨネーズについては下の方で説明しています。
5-9-2 【アブラナ根茎の煮ふくめ】
アブラナ根茎の煮ふくめ |
アブラナの肥大化した根茎ですが…いろんな調理を試した結果、個人的にアブラナ根茎の調理として一番美味しいと感じたのがこの煮ふくめです。
一般的に食材として認識されていない部位のため調理例を他所で見つけるのは困難だと思いますから写真で詳しく紹介しておきます。
・ アブラナの根茎は真冬に肥大化します。
この時期のアブラナは雪が積もっている方が見つけやすいので雪中採取がオススメです。
白一面で埋め尽くされてるなか、アブラナの周囲のみ雪がなくて見つけやすいです。
尚、根茎にはヒゲ根がついているので想像以上に泥がついてきますから現地で不要部分のカットと泥落としを行っておきます。
- 持ち帰ったら先ずは泥落とし〜そして丹念に洗浄する。
- 皮は剥いておく。または流水のなか金属タワシでこすって軽く表皮を落としておく。
- 適度なサイズにカットする。
- 素材が十分隠れるくらいの量の出汁に砂糖を加え、火をかけ砂糖の結晶がなくなるのを待つ。
- みりん・醤油・酒を加えて弱火で煮込む。
・ 煮込み加減で食感を調整して下さい。
煮汁が1/2に減るくらいまで煮込むとゴボウとキャベツの芯を足したような味で、食感は長時間茹でて原型留めなくなってきたジャガイモ。
更に煮込むと崩れる直前のダイコン。
逆に3/4程度減るくらいの浅い煮込みだとゴボウ感が若干優ってるキャベツの芯…
食感的にはかたさが残っていて噛みごたえがあります。
※食べる時に一味唐辛子をふりかける…あるいは和からしをつけても良いと思います。
なんで味としてキャベツを感じるのかは不明ですが、
キャベツもアブラナ科アブラナ属だから…かも? 味が似ています。
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5-9-3 【根茎の揚げ物】
根茎の調理で一番最初に試したものが「揚げ」でした。
素揚げ もしくは片栗粉をまぶして揚げると フライドポテトっぽい何か…になります。
普通に食べられるものになります。
※揚げ物として利用する場合は根茎の部分と一緒に首の上も少し入れるといいです。
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5-9-4 【根茎の浅漬け】
根茎を生食してみようと思ったのは、”これダイコンみたいだから生で平気かも”…という単純な発想です。
結果! キャベツの芯みたいでもあるし独特な風味ありますし色々はじめての味のものでした。何度かリピートしていますが独特の風味が気になる方もいるかもしれません。
下準備は… 上の写真「根茎の揚げ物」と同じように緑要素として首の部位も用意します。
ここはかなり泥が入り込んでることがあるので丹念に洗ってさっと湯引きして下さい。
あとは適度な厚さにスライスしていってその総重量の2%くらいの塩 & 2%の昆布を加えます。
うちは浅漬け器があるのでそれを使っていますけど、なければジップロックと重しで大丈夫。
冷蔵庫で3〜4時間冷やせば出来上がり。
5-9-5 【アブラナ根茎炒め】
冬の根茎&大きい葉は炒めものに利用できます。
ごま油との相性が良いですが、炒める際は最初はサラダ油とか普通の炒め用の油で良いですが、最後にごま油ひとまわし加えます。
普通に塩コショウで炒められた根茎はかなり美味しいです。
根茎と一緒に首の上の緑部分も用意します。(このペアの炒めが美味しいので是非セットで!)
・ 葉は緑要素として使う感じなのでこれを使わなくても良いですが、その分何か野菜を足して下さい。
あとは豚バラも用意しておいて下さい。
根茎は適度にスライスしておくと食感がプラスされて美味しさアップします。
根茎と葉を具材としてチャーハン作っても美味しいです✿
炒めたスライス根茎の食感が個人的にお気に入り!
再現性は高いと思いますが、少しミスってるとこうなります。
- 根が妙な香りを出している→炒め不足・部位の選択ミス。
- 根が崩れて食感もなにもない→炒めすぎ。
6. 土筆・スギナ
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6-1 採取可能な時期・採取について
- 土筆は3月初旬…どこかのタイミングで数日間のみ
- スギナは春〜夏…但し食用に適するものの採取可能期間は意外と短い
特に土筆は「偶然発見した!」がメインなので、もしも土筆採取を目的として動くならば2下旬頃から3月中旬頃まで(前年に自生が確認された場所を)数日おきに見に行く必要があります。
土筆の姿でいる期間は非常に短いです!!
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土筆に対し、スギナは春〜夏に普通に見かけますが、開ききっていないものが食用に適しているのでこれも採取期間は意外と短く採取タイミングを逃しがちです。
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6-2 土筆・スギナの概要
シダ植物なので花をつけることはありません。
まず最初に地下茎から伸びた土筆から胞子を飛ばします。
そして栄養茎として土筆の直後に光合成を行うために地下茎から伸ばしてくるものがスギナで、これは30センチ程度には成長しますが、そのサイズは食用にはあまり適さないです。
(成長途中の鞘状の変形葉が閉じている状態のが食用可能な状態のものになります。)
・ 春〜夏のあいだ、何度か地下茎からスギナが出てくるようで採取に適したカタチのスギナを見つけるチャンスも確実に何度かあるのですが、変形葉がすぐ開いてしまうのでちょくちょく見ておかないと食用可能なスギナの採取はできません。
・・・まぁ開いていても害があるわけではないのですが、調理しにくいです。
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6-3 土筆・スギナはどこで採れる?
日当たりが良い酸性の痩せた土地!
実際見たことがありますが、例えそこが住宅街の中(放置期間の長い分譲宅地で赤土)でも気付くと土筆が出ていたりします。
ですから、日当たりの良い地面なら多分どこでも自生できるんだと思います。
…のワリには土筆っていかにも山菜っぽくての山里地域モノってイメージが強いんですよね。
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6-4 土筆・スギナの食べ方
土筆の佃煮はそこそこメジャーですからよく聞くと思います。
それに対しスギナはあまり食用イメージがありません。スギナ茶の情報ならばそこそこ見つけることができると思いますが、食用としての利用はそれほど一般的とは言えないので。
…でも、もちろん食べられます。
- 土筆→炒めもの・酢の物などでも良いですが定番の佃煮がオススメです。
- スギナ→難しい素材ですが天ぷらにするという方法があります。
そこで気がついたのがもっと高温に晒す「揚げる」という調理法です。
6-4-1 【土筆の佃煮】
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指先で一つ一つ外していく作業… 100本あったら約1時間ひたすら袴外しという感じです。
- 採取した土筆はすぐ傷み始めるので全量さっそく(指先使って)袴外しを行う。
- 袴を外した土筆をしっかり水洗いする。そして一旦水切り。
- 大量の水を用意して全量投入。数時間以上水に浸けてアク抜きを行う。(※1)
- 鍋に土筆を投入し、ひたひた程度の水をはって砂糖を入れ火にかける。
- 砂糖の結晶がなくなったら醤油とみりんを加えてゆっくり煮詰めていく。
※1 通常一晩くらい水に浸けておきますがムキになって長時間やってしまうとアクが抜けすぎて食感だけの食材になってしまうので個人的には長くて5,6時間程度で良いと考えています。
また、沸騰したお湯に投入だと短時間でアク抜きできますが、アクを抜きすぎないように注意です。
※どのへんでアク抜きをやめるかですが、これは個人の好みによります。
徹底してアク抜きを行うと食感のみ提供の食材で”もやし”っぽくなってしまうので個人的にはアク抜きの加減が味を決定すると考えています。
うまくいけばホヤみたいな濃厚な味がしますがアクが残りすぎるとエグみを感じて美味しくありません✿
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6-4-2 【スギナの天ぷら】
調理工程を写したことが一度もないのでテキストのみの説明です。
スギナは…表皮?がかたいのでいくら煮ても炒めても”木の皮食感”が残ってしまいます。
…ので、更に高温に晒す揚げ物…天ぷらにします。
- 水洗いしたスギナの水気をよく切ってから打ち粉する。
- 天ぷら粉を水で溶く時、若干粘土が高めになるように水の量を調整する。
- 溶いた天ぷら粉が棒状の変形葉の内側まで入り込むようによく吸い込ませる。
- 余分な天ぷら粉を落とす(絞る感じ)
- 油の温度は175℃くらい… 通常野菜を揚げる時より少し高めにしてしっかり揚げる。
7. カラスノエンドウ
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7-1 採取可能な時期・採取について
- 春を迎え比較的暖かくなってきた頃の4月くらいが食用新芽採取のタイミングです。
- スズメノエンドウ(カラスノエンドウよりかなり小さい)と間違えないように。
これも食べられますが、小さいのでスルーで良いと思います。
※カラスノエンドウの周囲にはこの花の花外蜜腺を目当てにケバエが集まっています。
ケバエは細長い姿をした大きめの虫ですが摘み取ってこちらの手にあるものまで未練がましく追いかけてこようとするので、このての羽虫との取り合いみたいな採取になります。
・ エンドウ…と、付いているのでもちろん鞘入りの豆も採取はできますし食用可ですが、あまりにも小さいのでスルーでオッケーです✿
採取ターゲットは上部の新芽部分です。花が咲いていても大丈夫です。
7-2 カラスノエンドウの概要
マメ科ソラマメ属の植物で正式名称は矢筈豌豆(ヤハズエンドウ)ですが、烏野豌豆(カラスノエンドウ)という呼び方の方がよく知られています。
おおよそ人の胸の高さくらいまで成長しますが、新芽・花を咲かせてる箇所(採取部位)がちょうどその高さになるので採取の際に目視確認しやすいと思います。
食用とする場合、あくまで新芽付近のみが良いです。それ以外は加熱してもかたい芯が残るような食感になるので気をつけて下さい。
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7-3 カラスノエンドウはどこで採れる?
本州〜沖縄・日当たりが良い場所を好むようですが日陰の多い藪の中でも街の中でもあちこちに生えています。
その繁殖力のため雑草扱いですが、もちろんその姿を全く見かけない場所もあります。
…ですから「こういう場所で必ず見つかる」という基準が逆にわかりにくいです。
さしあたり、河川堤防の法面や高水敷等の茂みを探せば見つかる可能性は高いです。
7-4 カラスノエンドウの食べ方
カラスノエンドウは加熱が必要です。(加熱することで解毒されます)
…と言うと毒草?と思われがちですがカラスノエンドウに限らず豆類はレクチン・サポニンが含まれているようですね。
そもそも植物は防衛システムとしての化学物質・あるいは人体によくない成分を持っているのが普通なので生食可能とされているもの以外は火を通したほうが無難です。
食用利用の場合、天ぷら(かき揚げ)が一番美味しいと感じていますが煮込み料理やパスタ等でも使えます。
何れも新芽部分を使うので色は緑色ですけれど…豆風味を与えてくれる食材です。
7-4-1 【カラスノエンドウのかき揚げ丼-精進天丼】
調理工程・出来上がり写真を春に写していましたがカメラとともにデータ消失したのでテキストのみでの説明です。
まぁ、かき揚げですから野菜類のかき揚げと同じ要領で問題ありません。
もちろん、かき揚げなので他の食材を混ぜてもかまいませんが一度カラスノエンドウのみで天ぷらを作ってみて味の方向性を確認しておいて下さい。
- 小麦粉7:片栗粉3を混ぜ、同量の水で溶く(小麦粉・片栗粉で100gなら水100cc)
- 適度にカットしたカラスノエンドウをそれに投入してよくからませておく。
- 170℃くらいの油でじっくり揚げる。
※ カットしたてのいも類等…表面に水気のある素材なら事前に打ち粉しておくことで対策になりますが、葉はそうではないので・・・
8. アカツメクサ
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8-1 採取可能な時期・採取について
開花時期は6月〜9月で、咲いては枯れ…を繰り返しているので新しい花を摘む機会は多いです。
可食部は花と葉の両方ですが花がメイン。葉を摘む時は花のそばにある新しい葉だけを摘み取ります。
8-2 アカツメクサの概要
正式名称はムラサキツメクサ(紫詰め草)
四つ葉のクローバーはシロツメクサですが、あれを巨大ににて花を赤紫色にしたものがアカツメクサだと思えば良いですが、実際のところ人の腰〜胸の高さくらいまで伸びてきます。
そして花もシロツメクサより二回り程度大きいです。
8-3 アカツメクサはどこで採れる?
日当たりの良いところで見かけます。どちらかと言えばやや湿った土壌を好むようで乾燥した土地にはありません。
地域としては日本全土・場所は畦畔・草地や河川敷(高水敷・法面)の他、路傍・公園など、人の生活圏でも比較的よく見かける植物だと思います。
8-4 アカツメクサの食べ方
一般的にはハーブやお茶として利用されるものですが妊婦や授乳期間は避けた方が良いそうです。
調理法ですが私は天ぷらでしか食べたことがありません。葉は炒めものや胡麻和え・酢の物などでも使えます。
花を天ぷらにするとやや甘酢っぱさを感じることができます。
尚、シロツメグサも同様に食べることができるので平行して試してみても良いかもしれません。
調理工程・出来上がり写真を撮ったことがないのでテキストのみでの説明です。
- 粉は市販の天ぷら粉が向いている(同量の水で溶く)
- 溶いた天ぷら粉を花の隅々に行き渡るようによくからませ〜余分な衣は落としておく。
- 170℃の油で揚げる。
※ かき揚げ丼に使用の場合多少衣が厚くてもOKですが、やはりカラっと揚げた方が良いです。
9. ムカゴ
ちなみにこの写真のムカゴの一部はザリガニの餌にしました。
9-1 採取可能な時期・採取について
一年に一回だけ採取の時期が訪れますが…晩秋です。
右上の写真のように葉が落ち蔓も茶色く干からびた状態になっていれば収穫時です。
・ 人の目線高さにたくさん成っているので見つけるのは容易ですが、触れただけでポロポロ地面に落ちてしまうので採取は慎重に行ったほうが良いです。
実際、いつも地面に落としてしまっているので落ちたムカゴを探すのに手間かかっています。
9-2 ムカゴの概要
これは特定の植物の名称やその部位ではありません。(ムカゴをつくる植物はいくつかあります)
ですが、単にムカゴと言えば一般的にはナガイモ・自然薯などの山芋類に成る肉芽を指します。
これは蔓の葉の付け根にできる栄養繁殖器官の一つですが味としては地中にできる芋に近いです。
9-3 ムカゴはどこで採れる?
ナガイモや自然薯に成るものなので、ならば当然山の中…というイメージがありますが、普通に街なかの公園でも見つけることができます。
9-4 ムカゴの食べ方
今まであまり深く考えずただ蒸していただけなので他の調理法については調べていません。
でも、ただ蒸しただけでもおつまみには良い感じです✿
9-4-1 【ムカゴを蒸す】
調理工程・出来上がり写真を写したことがないのでテキストのみでの説明です。
芋の蒸し方と同じですが、ムカゴ自体が小さいのでそれほど時間は必要ありません。
蒸し器があれば次のようにして下さい。
- 蒸し器鍋にたっぷりお湯を沸かす。
- 火は強火の状態のまま…蒸し器を乗せてムカゴを7〜10分程度蒸す。(必ず蓋をする)
- 塩ふりかけて出来上がり。
もちろん蒸気が逃げないように蓋をします。
10. その他の野草
〜 以下、各野草について簡単に紹介しておきます 〜
10-1 ハルジオン (4月〜7月) | |
ハルジオンとヒメジョオンは似ていますがハルジオンは花弁の幅が細いのでそれで見分けます。 食用にするならハルジオンの方が向いています。通常は葉や茎・蕾を食べるものなので開花した花は対象外ですが、まぁ…ごっちゃで食べることができます。 天ぷら・お浸し等にします。 |
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10-2 ヒメジョオン (7月〜10月) | |
ハルジオンが終わったあとに交代するように出てきます。 上の写真(ハルジオン)と見比べると花弁の幅が広いのがわかると思います。 これもハルジオンと同じ調理で食べられます。 |
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10-3 ギシギシ・スイバ(スカンポ) (5月〜8月、採取対象は新芽・茎) | |
タデ科の植物でギシギシ・スイバ(スカンポ)を一緒くたに扱う場合もありますが、葉をよく見るとギシギシの葉の裏は側脈がが網目になっています(スイバの側脈はシンプル)。また、葉柄・葉身の境目を見ると葉身の形状が異なります。 夏前のスイパの茎を生で齧るなど…里山の子供達の定番おやつですけれど、シュウ酸を多く含むため摂取量には気をつけて下さい。 食用採取の場合は新芽や茎を摘み取ります。このスイバでジャムはお菓子にも使えますし小分け冷凍しておけば季節以外でも使えて便利です✿ ※この植物はコガタルリハムシという虫がつきやすいです。 |
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10-4 オオバコ (4月〜9月にかけて見かけます。) | |
野草採取の話題には必ず出てくる「オオバコ」…定番です。 ごく一般的な野草でどこにでも生えていることになっていますが普段行ってるエリアではヘラオオバコばかりで、こちらはあまり見かけません。 ←これは利根川堤防で見つけました。 アク抜きが必要ですが、若葉をお浸しや天ぷらにします。 |
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10-5 ヘラオオバコ (4月〜9月にかけて見かけます。) | |
オオバコと似ていますが、ヘラオオバコは葉が細いのですぐ見分けられます。 これもオオバコ同様、食べることができますけれど食利用はオオバコほど一般的ではありません。 あまり利用していないためこれを使った料理はたいして作っていないのですが、葉筋が気になるので時間をかけて蒸した後、炒めものに混ぜたりしています。 |
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10-6 ヒメオドリコソウ (2月終わり〜3月初旬。見た目が毒々しいです) | |
グラデーションのある肉厚の葉で産毛も生えていて触るとイヤなニオイがつく…毒草と認識されているケースも多いですがヒメオドリコソウは一応食べられます。 蜜の糖度は50%あるそうです。 丁寧にアク抜きをした上で高温に晒す天ぷらに向いていますが、お浸し・ゴマ和えに調理する際は熱の入れ具合によってはかなりの青臭さが残るので注意です。 |
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10-7 ホトケノザ (3月〜6月・要注意!) | |
シソ科オドリコソウ属ホトケノザ。 他の草の陰など半日陰に群生します。 ホトケノザ…と言えば、春の七草にホトケノザがあるので食用可と勘違いしそうですけど名前が同じだけでこれは別植物です。 シソ科は食べられる野草が多いですがこのホトケノザは毒草なので採取対象外です! ※春の七草に出てくるホトケノザは正式にはコオニタビラコと言います。 リンク先の写真を見れば全く違う植物だというのがわかると思います。 |
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10-8 ドクダミ (6月 一日中直射日光が当たらない林の中などの湿った土地) | |
主に薬草用途です。子供の頃の遊び場は普通に藪で手足は擦り傷 切り傷が絶えませんでしたが親や学校の先生から止血剤として教えられててよく利用していました。 口に入れるケースとしては「どくだみ茶」が一般的ですね。 こちらの写真はうちの家屋の陰で採ったどくだみを陰干し乾燥させ砕いたものですけれど簡単にどくだみ茶葉になりました✿ 参考:どくだみの花 |
11. 料理の時間・野草料理に使う調味料
ここからは野草を使った料理に合うオリジナル調味料のお話です。
・ 料理の”さしすせそ”…砂糖・塩・酢・醤油・味噌(投入もこの順番)は基本調味料を表していますが、これら基本調味料に酒・油・香辛料・他材料を足して更に別の調味料をつくっていけます。
調味料づくりもある意味では料理ですが、目的の料理の味を左右させる重要な部分ですから時間があれば是非色々試してみて下さい。
ほぼ同じ時間がかかるスパイス調合から始めるカレー作りのような出来栄えの感動は皆無。
…でも手作りソースの味はやっぱりベツモノでした。
その時に調味料の重要さを強く感じそれ以降うちではほとんどの調味料を手作りにしています。
今回のコンテンツで取り上げた野草&調理に出てきた「天ぷら・かき揚げ用のタレ」と「マヨネーズ」は比較的短時間で簡単に作れますからチャレンジするには最適だと思います。
11-1 【精進天丼用タレ】
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精進天丼用としていますが、一般的な丼もの用の普通のタレとしても使えます。
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カラスノエンドウかき揚げ丼(精進天丼)で使用しているタレです。
カラスノエンドウ(新芽)の天ぷらは若干の甘味と豆風味を味わえますが、かき揚げ丼にする場合のタレは次の要領で作っています。
- 沸騰したお湯にたっぷりの鰹節投入・すぐ火を止めて全ての鰹節が沈むのを待つ。
- 裏ごしして出汁のみを取り出す。
- 出汁に砂糖・醤油・みりんを加えて1/2程度になるまで煮詰めていく。
- 煮詰めていく途中で鷹の爪を加える(最初から入れないように)
- 最後に鷹の爪を取り除いてできあがり
※煮詰める時は弱火でじっくり…粘度高めた方が丼ものには合うのでギリギリ1/3近くまで煮詰めても良いですが砂糖が入っているので煮詰めすぎると苦みに転じます。
※鷹の爪を入れすぎると失敗するので慎重に行きたい場合は丼に盛ってから唐辛子ふりかけでもOK。
※ 天ぷらのつゆとして使う場合は出汁作りの時の鰹節を増量して下さい。そして、砂糖・鷹の爪は加えず煮詰めないでひと煮立ちでOKです。
11-2 【マヨネーズ】
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亜麻仁油ベースの自家製マヨネーズ |
・ 調合にもよりますがマヨネーズの7割近くは油なので、この油を変えていくことでそれぞれの料理に向けたマヨネーズを作ることができます。
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マヨネーズは油60〜70%と卵黄&酢です。 市販のマヨネーズの油はどんな料理にも合うように菜種油・大豆油・ひまわり油・コーン油等の癖のないものを使っていますが、逆に言えばここを変えていくと特定の料理に特化したマヨネーズができることになります。 |
市販のマヨネーズからけっこう遠い味にはなりますがごま油100%でも可能です。
・ そしてもう一つの要素はお酢です。
一般的な穀物酢や米酢以外に、リンゴ酢やぶどう酢・バルサミコ酢などの果実酢を使って芳醇な風味を上乗せするのも良いと思います。
(熟成年数のあるバルサミコ酢はそれ単体が濃厚な果実エキスみたいなものですからドレッシング用途をイメージして調製していくとイタリア料理にも合いそうな美味しい調味料ができます)
この時に注意しないといけないのはバルサミコ酢とゴマ油の掛け合わせはイタリアンと中華が混ざるみたいで強い違和感がある・・けれどオリーブオイルとなら方向性が合っててOKという組み合わせの相性です。
…ですが、良い意味でも悪い意味でも個性を持った油・酢を使用して作ったマヨネーズは方向性が強く出るので当然使える料理が限定されますし自分が気にいる味かどうかはまた別問題なので一気にそちらへ進まないで少しずつ寄せていく感じで納得する味を見つけて下さい。
・ そういうチャレンジではなく単に多目的に使えるマヨネーズが作りたいのであればとりあえず、菜種油・コーン油に穀物酢か米酢あるいはリンゴ酢を使っていけば良いと思います。
炒め物に使うのでなければ果実酢などの風味も活かせます。
今回このコンテンツで取り上げている野草料理では2種類のマヨネーズが出ています。
- たんぽぽマヨ和え用に作った米油:ごま油(3:7)ベース&米酢のマヨネーズ
- 菜の花お浸し用に作った亜麻仁油ベース&リンゴ酢のマヨネーズ
- 油以外の材料(卵黄2個+酢30ml+塩3g+こしょう2g)をよく撹拌する。
- 油を少量入れて撹拌、更に少量足して撹拌…用意した油を全投入するまでこの作業を繰り返す。
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卵黄2個を使う場合のその他の材料目安 油:100ml〜200ml※ 酢:30ml 塩:3g 黒胡椒:2g |
- 油を一気に大量投入すると乳化が起こらず必ず失敗するので注意して下さい。
- 油の量は上限200ml程度までなら概ね大丈夫です。
- 卵黄1個の場合は油総量を80ml(上限150ml)にして下さい。
- 卵まるごと(卵白含む)でももかまいませんが味の濃厚さは落ちます。
※出来上がったマヨネーズに茹で卵・水分を絞ったタマネギ・ピクルス…のみじん切り・塩ひとつまみを加えて混ぜれば[タルタルソース]になります。好みで和辛子や黒胡椒等を足して下さい。
11-3 【ドレッシング】
✿たんぽぽ葉をサラダで食べる場合…のドレッシングです。
たんぽぽの項目でも触れていましたが、生食だと苦味を強く感じる食材です。
そして草の感じもハンパないので一般的なサラダの味に慣らされた舌にはハードルが高いです。
それでも一度試してみたい…という場合はここで紹介するドレッシングを使って下さい。
11-3-1 バルサミコ酢&オリーブオイルベースのマヨネーズを使ったドレッシング
材料は牛乳・マヨネーズ・塩・ニンニク・レモン・香辛料・パルメザンチーズ粉チーズです。
…なので出来上がりは市販のシーザーサラダドレッシングとはまた違う味のものとなります。
先ずは…前段階のマヨネーズ作り
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事前に準備しておくバルサミコ酢・オリーブオイルのマヨネーズ。 黒胡椒…写真に写っているのは粗挽きですがパウダーでもOK。 |
- バルサミコ酢は上を見ると100mlで数万円以上する高価なものまでありますが、ここでは材料として使うのでさしあたりワインビネガーが含まれている100ml数百円程度のもので大丈夫です。
- オリーブオイルの苦味・辛味も味に乗せたいのでエクストラバージンの方を使って下さい。(ピュアは精製されているため苦味・辛味・風味がかなり抑えられています)
- オリーブオイルは100%が理想ですが混ぜる場合は菜種油・コーン油が良いです。
- このマヨネーズは肉料理(主に豚肉)にも合います。
- 保存可能期間ですが冷蔵で最大でも1週間…できれば4,5日以内で消費して下さい。
- 酢が入っているので保存は金属製以外の容器(ガラス製など)を使って下さい。
…そしてドレッシング作り
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- マヨネーズは菜種油6:オリーブオイル4にバルサミコ酢で予め作っておきます。
- 牛乳は種類別「牛乳」の表示があるもの…つまり成分無調整を使います。
- 香辛料としてバジル・カルダモンのどちらかと黒胡椒を用意して下さい。
- レモン(レモン汁)はお酢でも代用可能です。
- 玉ねぎみじん切りは入れなくてもOKです。
- 香辛料(バジル・黒胡椒)・にんにくは好みで加減して下さい。
- サラダを食べる時に再度粉チーズとバジルをふりかけるのがオススメです。
- ハンバーグとともに少し火にかけてお皿に盛る時に粉チーズを追加でかけても美味しいです。
- このドレッシングは日持ちしないので基本は食べる当日に消費する量を作るようにして下さい。説明用に写真では各分量を多くしています。(完成時150ml)
強い酸味がたんぽぽの苦味に作用するので酸味の強いドレッシングの選択も悪くはありません。
その場合は次のレシピを試して下さい。
11-3-2 酸味を前面に出したドレッシング
材料はオリーブオイル・ワインビネガー・塩・レモン・香辛料…(少量の玉ねぎみじん切りやすりおろしニンニクも加えると味に深みが出ます。)
- オリーブオイル6: ワインビネガー4 …に塩・バジル・黒胡椒を加えて撹拌。
- 最後にレモン絞り汁を加え混ぜる。
酸味の度合いはワインビネガーの比率で決めて下さい。(6:4はかなり酸っぱいです。)
※ 私はいつも白ワインビネガーを使っています。(ドレッシングには白が合います)
※ ここで使うオリーブオイルもマヨネーズの時と同じくエクストラバージンを使います。
※ ワインビネガーの代わりにバルサミコ酢を使うとまた違う酸味が楽しめます。
※ 醤油を加えてもOKです。
※ レモン汁を加えるまでなら比較的長期保存できますが、レモン汁を加えた後は3〜4日程度です。
これはSecond Life内部活・デジアカMac部第522回・2020.7.11用コンテンツです。
この内容は個人が経験で感じたことを書き留めてるだけなので専門的な内容を求める場合はネットではなく別途出処のちゃんとした文献などを参照して下さい。
作成した図や写真に写っている植物名など一応正確だとは思いますが保証はありません(ノ゚ο゚)ノ
主な取材地:埼玉県春日部市
平成27年10月1日制定春日部市の歌「心の空」(作詞・作曲:あえか・編曲:西本 明) | |
防災無線版 |
フル
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