2021年9月6日月曜日

Second Life用のPCを考える

2021年10月10日 第565回

今回のテーマはSecond Life用のPCの選択…です。
昨今の3Dゲームに比べればSecond Lifeに要求されるスペックはそれほど高くはないので実のところ現行のPCならばどれを選んでもそこそこ動くと思いますが、あえてその部分を考えてみよう〜というお話です✿

✿今回は比較・検討資料としてまとめているので数字の多い内容になっています
 1.  現行のPCならばどれを選んでも…          
…最初からこう言ってしまうと身も蓋もないですし今回のテーマ即終了ということになってしまいますが✿

”どれを選んでも”…って曖昧すぎますけど、でも「現行のPCならば」概ね大丈夫!

今のCPU…IntelのCore iやAMDのRyzen等は画像処理演算を行うGPUGraphics Processing Unitを内蔵しているので、別途グラボを載せていなくても3Dの要求は満たせますし、そこそこのゲームはできることになります。
そして数世代目に入っている現在のCPU内蔵型GPUは想像以上のパフォーマンスがあります。
数字上の話ならば現在の内蔵GPUはSecond Lifeを影付きで動かせるだけの十分なスペックを持っています。

・・・まぁ少し無謀ですけどw

 1-1  スペックの上では大丈夫だけど… 

…でもSecond Lifeって負荷の低い超高空での数人のチャットから高負荷になるイベント参加まで、描画要求スペックの幅が大きいので、その全てをCPU内蔵型GPUでカバーできるとは考えない方が良いです。

特に冷却が弱いノートPCなどは顕著ですが、発熱でシステムダウンしないように自動でブレーキをかける機能(スロットリング)もCPU内蔵型GPUでは発生しやすいので常にMAXパワーが発揮されているとは限りません。

 メモ  iGPU・dGPU・eGPUの違い 
PC内でGPUをどのように動作させるか?はSecond Lifeその他3Dゲームユーザーにとっては最重要!! 快適さに直接関わってくる部分です。
間違った買い物をしないためにもこの3つの違いは知っておいたほうが良いです
  • iGPU (Integrated GPU) → CPUに内蔵されたGPU。
  • dGPU (Discrete GPU) → ボード状の製品として用意されている。
  • eGPU (External GPU) → Thunderbolt接続によりPC外付けで動作するもの。
※iGPUは別途グラボを用意しないので最もコストがかかりません。
※dGPU…一般的にグラボと呼ばれるものです。ユーザー自身で交換可能です。
※eGPUは以前はGUSと呼ばれていました。ノートPCに便利→以前書いた記事へのリンク
※パフォーマンスは dGPU & eGPU >>> iGPU です。(速い順)
※導入コストは eGPU >>> dGPU >>> iGPU です。(高い順)

GPUは何も3D演算のみに利用されるものではなく、CPUの演算補助や昨今の高精細なビデオ映像再生支援も行っています。つまり現代のPC用途では必須になる要素です。
iGPUが誕生した理由もそのへんにあります。

「GPU」は本来は部品…チップとしてのGPUを表しますが、グラボ等ボード状にした製品としての商品名にも使われていているので注意して下さい。

eGPUは電源とThunderboltインターフェースとスロットを備えた拡張BOXで中にdGPUが入っています。GPUを交換できないノートPCなどに便利です。(形状としてはPCの外につなぐ箱ですが中のdGPUはユーザーで差し替え可能です)

 1-2  数字で確認… 

影付き状態のSecond Lifeの画面がどれくらいヌルっと滑らかに動かせるか?
グラボ(GPU)の性能が高ければSecond Lifeの描画も良くなる…これはSLユーザー誰もが知っていることですが、その「性能」が数値化されていれば新しくマシンを選ぶ時(あるいはグラボを交換する時)の目安になりますよね。

GPU以外の要素も軽快さ獲得に関係しますが( 3-1 参照)先ずはGPU処理能力を意識して下さい。
その処理能力は数値化されていてFLOPSという単位が使われています。

※本来は実測値を測るベンチマークテストが一番参考になるのですが、さすがにSecond Lifeでのデータはないのでここでは仕様で判明しているFLOPS値を基準に見ていくことにします。

※部品としてのCPUやGPUだけではなくスマホやスーパーコンピューターやコンソール(ゲームマシン)等の性能表示にもFLOPSが使われています。

 キーワード  FLOPS(フロップス)   
これは浮動小数点の演算を1秒間に何回実行できるか…という単位です。
 ・1秒間に100万回の計算が可能→   1MFlops 
 ・1秒間に10億回の計算が可能→   1GFlops 
 ・1秒間に1兆回の計算が可能→   1TFlops 
 ・1秒間に1000兆回の計算が可能→   1PFlops 
 ・1秒間に100京回の計算が可能→   1EFlops 
※メガ フロップス・ギガ フロップス・テラ フロップス・ペタ フロップス・エクサ フロップスと読みます。
※PFlops以上の速度が出せるのはスーパーコンピューターくらいなので意識しなくてもOKです。
※2021年現在のPCに使われるGPUは概ね数百GFlops〜20TFlopsあたりです。
※浮動小数点…聞き慣れないかもしれませんがプログラミングでは常に意識します。



 ✿参考 メジャーな機器のFLOPS数値
 iPhone4(A4)  :1.6 GFlops
 iPhone6(A8)  :115.2 GFlops
 iPhone12(A14)  :824 GFlops
 iPhone13Pro(A15)  :1.224 TFlops
 Apple M1 MAX 32Core  :10 TFlops
 PlayStation4  :1.84 TFlops
 PlayStation5  :10.28 TFlops
 スーパーコンピュータ    :10.51 PFlops (TOP500 Jun 2011 世界1位)
 スーパーコンピュータ 富 岳   :442.01 PFlops (TOP500 Jun 2021 世界1位)
 スーパーコンピュータ El Capitan   :2 EFlops (2023年・目標)

※尚、富岳はiPhoneやAppleSiliconMacと同じArmベースのCPUです。

 1-3  参考1:2007年当時のハイエンドdGPUの値は? 

ところで2007年頃にSecond Life内(MagSL)にドスパラのショールームがありましたが、ドスパラは「Second Life推奨モデル」を設定、製品化し販売していました。
その推奨モデルのグラボはGeForce7900GS。
当時選択肢にあったハイエンドグラボはGeForce8800GTSですが、これが 228 GFlopsでした。

同じ時期に登場したiMacのGPUが 52(もしくは)144GFlopsですが、2007年頃のSecond LifeはこのiMacでも問題なく滑らかに動いていたので当時のハイエンドグラボはかなりの余裕をもってSecond Lifeができていたんだと思われます。

 1-4  参考2:それに対して現在のCPU内蔵型GPUは… 

Second Lifeの描画要求は当時と全く違いますから10年以上前のグラボの数値と現在のPCを比べてもたいして参考にはなりませんが、例えば2019年版MacBookPro13のCPUに内蔵のGPUはIris Plus Graphics655で、これは 922 GFlopsの処理能力があります。
現在のSecond Lifeは概ね1TFlopsあれば影付けてもそこそこ動けると思うので数値としてはOKですね。

ただし、CPU内蔵型GPUは専用メモリ(VRAM)を持っていないので膨大な数のテクスチャーを読み込む可能性のあるSecond Lifeでは描画距離の設定を大きくできません。また、ノートPCだと発熱によるスロットリング(速度低下)も起こりやすいです。

そういう不安要素を完全に無くすにはやはりdGPU…つまりPC内部に別途搭載させるグラフィックボード・もしくはeGPUを求めていくことになります。




 2.  dGPUを選ぶ                   

iGPUに依存しないで、別途グラボ(dGPU)を導入する際のお話です。
…の前に、そもそも自分のPCで使われているGPUがわかっていないとグラボ買い替えが必要なのか選択肢とか諸々不明なので・・・

Windows10の場合:
デスクトップ上で右クリック → ディスプレイ設定 → ディスプレイ →
ディスプレイの詳細設定 → アダプターのプロパティ表示

Macの場合:
左上のリンゴマークをクリック → このMacについて

…これで現在のGPUの情報が出てきます。

尚、市販のPCにはグラボを搭載していない状態で売られているものがあります。
…と、いうかBTOカスタマイズでグラボ未選択なら基本モデルとして iGPUのみ になってしまうことも普通に多いのですが、電源容量に余裕があるタワー型モデルなら購入後でも自分の手でグラボを載せる・あるいは換装することができます。

既に使用しているグラボからの差し替えも含めてこれは当然、グラフィックまわりの処理能力向上を見込んでの行為ですが、それに伴う副次的なメリットとしてVRAMの容量が拡大できる期待があります。

Second Lifeの場合、余裕あるVRAM容量は描画距離を大きくした際の安定度につながるのでグラボのVRAM容量は重要な要素です。

 2-1  dGPUの最大のメリットは… 

→必要に応じて最適なグラボに挿し換えていける。
〜今後のSL新バージョンで重くなったら…つまり強敵が出てきたら対抗できるグラボにすれば良い〜

Second Lifeは巷の3Dゲームほどには描画要求が高くないのでハイエンドグラボを選択する必要はありませんが、それでも徐々に負荷要素がプラスされてきています
 原色積み木の世界 →3Dとしてはかなり軽い
  + WindLight→大気に雰囲気&海キラキラのわりには比較的軽い
  + + 影 →普通に重たくなった!
  + + + DOF →あまりに使わないけどONにすると激重たい!
  + + + + projector light → 嫌がらせのように重たい!!
  + + + + + Mesh →Mesh自体は重たくないけど表示するための環境が重たい!
  + + + + + + ? →次にどんな要素が実装されるにしても絶対今より重い!!

このまま進歩していくなら今後も新たな何かが実装され、描画負荷を増していくと思います。
それに追従していくためにユーザー側のPCも更新する必要が出てきますが、グラボのみ更新で考えればPC本体は数年以上現役で使っていくこともできるので無駄がない。

例えば体・髪・服の(かたさ・柔らかさを含めた)衝突判定・服のたわみやシワ、風の影響etc…等が実装されたらかなり高負荷になりそうです。



 2-2  dGPUの性能と導入コスト(製品価格帯) 
用途的にdGPU(グラボ)は正に3Dゲームをするための必須パーツとして売られているものですから間違って数年以上前の中古製品に手を出すのでなければ概ね期待通りに動いてくれると思います。

GeForce・Radeonに大きな差異はないですが、GeForceはゲームに強くRadeonは映像表示に強いという一般認識があります。一応殆どのゲームメーカーはGeForceを開発時のターゲットマシンにしているそうです。

ハイエンドグラボは本当に高価ですが、Second Life用だったらそこまでのスペックは求めなくてもOK。
下の表に参考例としてハイエンドをいくつか…そしてSecond Life用候補のグラボを紹介しておきます。


 ✿2021年下期ハイエンドグラボ一例 ※グラボのみの価格です。
モデル名 VRAM容量 FLOPS 参考価格
 GeForce RTX3090 24GB  29.3TFlops  〜330,000円〜
 Radeon RX6900XT 16GB  23.04TFlops  〜270,000円〜
 GeForce RTX3080 10GB  25.1TFlops  〜130,000円〜
 Radeon RX6800XT 16GB  20.74TFlops  〜180,000円〜
 GeForce RTX3070 8GB  17.7TFlops  〜100,000円〜
 Radeon RX6700XT 12GB  13.21TFlops  〜100,000円〜

 ✿ ”更にハイエンド” …なグラボ・MacPro2019専用 ※グラボのみの価格です。
モデル名 VRAM容量 FLOPS Apple Store
 Radeon Pro W6900X MPX(2連同期) 64GB  44.4TFlops  1,276,000円 
 Radeon Pro W6800X Duo(2連同期) 128GB  60.4TFlops  1,056,000円 
 ✿そして・・・Second Lifeに適したグラボ       
モデル名 VRAM容量 FLOPS 参考価格
 GeForce RTX2060 6GB  5.2TFlops  50,000円〜
 GeForce GTX1660 6GB  4.3TFlops  40,000円〜
 GeForce GTX1650 4GB  2.5TFlops  30,000円〜
 GeForce GTX1050 2GB  1.862TFlops  20,000円〜
 GeForce GT1030 2GB  1.127TFlops  8,000円〜
 Radeon RX5600XT 6GB  7.188TFlops  〜80,000円〜
 Radeon RX5500XT 4GB  5.196TFlops  〜50000円〜
 Apple M1 Unified  2.6TFlops  ----------
 Apple M1 MAX Unified  10TFlops  ----------
※上記モデル名は厳密にはGPU名ですがGPU名が「グラボ製品名」を兼ねてることも多いです。
※半導体不足影響下でGPU価格も荒れているので表示価格は参考程度に考えて下さい。
※Second Life用としてならGT1030が最低、GTX1050あたりからが実用範囲です。

尚、表の中で「更にハイエンドな…」でMacPro専用のグラボを紹介していますが、これはワークステーション用途です。スペック的にはもちろん3Dゲームくらいはできますが別方向に能力・コストが向けられているのでリソース的にかなり無駄です。
このグラボは12台の4Kディスプレイを接続できます。
…そして2連同期のグラボです。


 2-3  グラボ型番の読み方 

現在のグラボは概ね1TFlopsを超えているので問題ありませんが、型落ち品・古い世代の製品はどのくらい前のものか?FLOPS値は?などに注意して下さい。

また登場直後モデルはドライバの問題、また当然SL側デベロッパでの検証も十分行われていないのでリスクがあります。

✿導入に失敗しないために型番を読めるようにしておくと便利です。
・・・・例えばNVIDIA GeForceシリーズの読み方。
 ・グレード  TITAN > RTX ・GTX > GTS > GT > GS
 ・世 代  30 > 20 > 10 > 900 > 800 >700 > …
 ・性 能(製品ランク)   90  80  70  60  50  40  30  20  10 
 ・同型番内の性能  Ti > SUPER > 無印
※グレードの TITAN・RTX・GTXは高負荷ゲーム用、GTはライトゲーム・動画再生用です。
※GeForceの世代は更に600 > 500 >……> 100 > 9xxx > 8xxx > 7xxx…と遡ります。
※2021現在は30(3000番台)が最新です。
※製品ランク: ハイエンド  >  ミドルレンジ  >  ローエンド

 注意!!  世代が離れてる場合…世代の古いハイエンドより世代の新しいローエンドの方が高スペックです。
09年頃に爆速と言われたGeForce GTX285より2017年頃のローエンドGT1030の方が高速です。

新しい世代の製品は32bit版OS向けのドライバーが提供されていないことがあるので注意して下さい。





 3.  まとめ                      
Second LifeはクライアントPC側でリアルタイムで3D画像を生成しますからPCの基本能力…特にGPUの処理能力は必須となります。
冒頭で触れたとおり、それは「 iGPU 」でもかまいませんが安心して使っていくためにはちゃんとその能力を認識して「 dGPU 」を選んでおくと安心です。

もちろんGPU以外にも様々な要素が絡み合ってくるので総合的に見ていく必要がありますが、その重要度順にまとめました。

 3-1  Second Lifeの快適さを左右する要素(重要度順) 
  1. GPUのFLOPS値(グラボ選択肢に考慮)
  2. VRAMの容量(グラボ選択肢に考慮)
  3. GPUを挿すバスの種類(重要ですが今はスルーでも良いです)
  4. CPUの基本処理能力(PC購入時に考慮)
  5. メインメモリの容量(PC購入時または増設の検討)
  6. OSが置かれているストレージ(PC購入時に考慮・あるいは換装)
  7. ネット速度

 3-2  以下に詳細をまとめます。 
 1. GPUのFLOPS値:
グラボ選択肢に考慮して下さい。
さしあたり1TFlops以上あれば影つきで動き回る場合でもほぼ問題ありませんが、DOFを入れたまま描画距離をあげる・光源の多い場所に行く等 高負荷状態での安定感や今後のことを考え2TFlops前後〜のモデル…つまりミドルレンジ以上の製品を選んでおくと安心です。

 2. VRAMの容量:
グラボ選択肢に考慮して下さい。
GPU専用のメモリ…VRAMの容量は大きいほど良いです。
Second Lifeの場合はカメラ視界内の既に読み込んだオブジェクト・テクスチャーの保持量に直接つながります。つまりVRAMが容量が大きければ距離をのばして大量のオブジェクトを視界内にとらえてもスムーズな動きが保てます。
SLビューア側ではこの設定値は極端に大きくはできませんがグラボのVRAM容量は2GB、できれば4GB以上あると良いです。
dGPUとiGPUの違いはこの専用のVRAMを持っているかメインメモリと共有なのかという部分で、、これがdGPUのメリットです。

※例外的にスペース都合・組み込み工程都合・製品戦略都合で(dGPUを載せていても)dGPUは差し替え不可&VRAMを載せずメインメモリ共有としているPCもあります。

 3. グラボを挿すバスの種類:
つまりPCの拡張スロットを指しますが、現在の主流はPCIeです。
これには更にレーン数という仕様があって×1, ×2, ×4, ×8, ×16があります。現在のグラボの殆どはPCI Express16仕様です。
ですので、PC側にこのPCI Express16スロットがないと始まりません
PCIe以前は、PCI用、AGP用などのグラボが混在していました。それより更に前はPC/AT互換機のISAバス、MacintoshのNuBUS、PC9801のCバスその他があります。

※07年頃、PCIスロットしかない古いPC用にPCIのグラボを約2万円で購入してSLで使ってみたことがありますが想像以上にカクカクでした。
つまりGPUが性能的にOKでもデータの通り道となるバス幅が狭ければ結果的に遅いんです。

 4. CPUの基本処理能力:
一般的なIntelのCore iシリーズやAMDのRyzenシリーズのCPUならば特に問題ありません。(CeleronやAtomでのSecond Lifeはかなり厳しいです)
尚、PCを選ぶ際はクロック周波数の高さよりコア数を意識すると良いと思います。
特にマシニマ制作時の録画…つまり動画キャプチャーはSecond Lifeのレンダリング描画と同時進行で動画のデコード処理をしていきますからコア数の差が出てきます。
2コアでも問題はありませんが4コア、8コア以上あると安心です。

 5. メインメモリの容量:
PCの搭載メモリ容量は多ければ多いほど…というのは当然の話なのでSecond Lifeだから云々という特記事項は特にありません。
2021年現在は最低8GB〜だと思いますがこの容量は実はギリギリです。
例えば同時にWebブラウザを起動させていてYouTubeを視聴している(あるいは視聴していた)状態でメモリ開放を行っていないと頻繁にスワップが発生している筈なのでPC全体のパフォーマンスがかなり低下していると思います。
そのためメインメモリは16GB以上あると良いです。

 6. OSが置かれているストレージ:
PCはメモリー残量が少なくなるとストレージとの間でスワップを行います。
いわゆる仮想メモリですが相手ストレージがハードディスクではやはりパフォーマンスが大きく低下してしまいます。
大きな連続データを取り込んでいく動画キャプチャー時は特に頻繁にスワップが発生します。
ですのでストレージをSSDにしてパフォーマンス低下を防ぐことを考えて下さい。
(動画キャプチャーの場合は保存先もSSDであることが重要です)

 7. ネット速度:
インターネット回線速度は一般的に速い方が快適です。これは間違いありません。
ですがクラウドサービスを利用する際は注意して下さい。
具体的には米国企業でT1云々と言っているところに多いのですが…
ユーザー側の回線速度が速いと遅くなります。

例えばAppleのiTunes matchも同期を早く終わらせるためには回線速度を遅くする必要がありネットでも話題になったことがありました。
そして…Second Lifeのビューアは設定項目の中にT1云々表記がありました(現在は表現が変えられています)つまり、高速のまま接続すると遅くなる/不安定になることを示唆しています。
 
✿Second Lifeビューアは擬似的な速度制限の設定ができるので回線自体の速度変更のためにpingやルーターをいじる必要はありません。





…忘れていましたが、Mac部なので追記しておきました!Mac事情について触れておきます。
 4.  Apple Silicon(Mシリーズ)Macの選択について     
※Apple Silicon =Mシリーズチップ(M1 , M1X…)

Appleは全てのMacを自社開発のMシリーズチップで統一するとアナウンスしていますから、ここではそれらApple SiliconMac選択時の注意点をまとめておきます。
・・・の前に、既存のPC知識ではわかりにくいApple Siliconの仕組みを理解しておく必要があるので先にそこに触れておきます✿

  4-1  Apple Siliconとは何? 
CPUGPU・Neural Engine・画像信号プロセッサetcの能動ユニットをSoCとして1チップに統合し、更にLPDDR(メインメモリ)を隣接〜
SiP(System in Package)を構成したモジュール
のシリーズ名です。

Apple Silicon Macの最大の特徴はCPU中心ではなくメモリ中心のアーキテクチャだということです。これは70年以上続いてきた”ノイマン型コンピュータ”とは異なるプロセスで動作するメモリドリブンコンピュータとも言えます。


  4-2  Apple Siliconの肝・Fabric型ネットワークとは? その恩恵とトレードオフ 
コンピューターはメモリーアクセスの高速化が能力を大きく左右しますが、AppleのMシリーズチップはCPU・GPU・メモリーその他ユニットをFabric型ネットワークチャンネルに同レベルで接続しています。その結果CPU・GPUがメモリー間とのデータ転送を同時に、かつ独立して行えるようになっています。

…と聞いても何のことかわからないと思いますが、重要なユニット全てを物理的に至近配置。
カタチとしてはCPUもGPUもメモリも…一切合切をパッケージ化しています。
つまり購入時にそれを選択するのみでユーザーによるメモリ増設・差し替え不可を意味しています。
SiPモジュール化されていますからユーザー側でのメモリ増設不可です!!  ここすごく重要です!! 

PCは道具として使うもの…Steve Jobsの思想をそのまま反映しているように感じますが、Apple Silicon Macでは自作PC的なことは一切できません

✿手許のiPhoneにメモリ増設しよう…とかGPUを交換しよう!とか考えないのと一緒です。AppleSilicon Macは買った時点の仕様で固定されている道具です。




  4-3  以上を踏まえて… 
  • ユーザーによるメモリ増設はできません。そもそも既存のPCとアーキテクチャが異なるので購入の時点で 「製品仕様として」 メモリ量を選択する必要があります。

  • 今回まとめたコンテンツではグラボのVRAMの重要性に触れていますが、その流れで解釈するとMシリーズのGPUがアクセスするメモリはメインメモリ共有タイプとなります。ですがFabricで統制されたメモリドリブンコンピューターとして考えるとそれは共有とは全く別の意味を持ち欠点とはなりません。専用のVRAMを持ってる…に近いです。

  • GPU自体のFLOPS値はM1が2.6TFlops、M1MAXが10TFlopsありますし今後出てくるM2以降のMシリーズにも期待が持てます。さすがに30TFlops程度ある現在のハイエンドグラボには届きませんがこの域はスルーでOKです。

  • 参考までに…インテルMacであるMacBook Pro16-2019をBTOでAMD Radeon Pro 5600M(77000円プラス)にした場合、5.3TFlopsになります。

  • 一応、現時点でわかっているM1のMacのGPU能力は… おおよそGeForce GTX1650とほぼ同等でSecond Lifeも軽快に動いているようなので数値通りのパフォーマンスは発揮できているようです。

  • 但し以前MacBook ProやMac mini、iMacで重宝されていたeGPUは現時点では使用できまません。

  • iMac、Mac mini、MacBook Pro、Mac Proなど今もインテルMacが併売されていますがAppleSiliconがまだメモリ最大量、ハイエンドグラボの選択面でインテルMacに届いていないのが理由です。
    つまり今すぐその能力が必要な場合はインテルMacを選択する必要があります。
  4-4  Apple Silicon MacはSecond Lifeに適しているのか? 
結論 Apple Silicon MacでのSecond Lifeは何ら問題ありません
昨年までコンソールのトップに君臨していたPlayStation4が1.84TFlopsですからAppleM1チップの2.6TFlopsが画像処理でどの程度強力なのか分かると思います。
  • 現在売られている最廉価のM1 Mac(79800円のMac mini)でもミドルクラスのGPUを挿したゲーミングPC(15万円前後)と同等のパフォーマンスがあります。
  • グラボ選択云々とかドライバー相性とか面倒なことは一切考えずに即戦力なのは間違いないので一番楽です。
  • 新しいM1MAXは32コアで10TFlopsですから、ほぼこわいもの無しのMacになります。M2、M2X、M3…後継にも期待できます。


  4-5  懸念事項について。 
※この話題はApple Silicon Macは全く関係ありません
今のMac用OSの基幹APIはMetalですが、それまでのOpenGLは非推奨になっています(MetalというのはAppleのコンピュータグラフィックスAPIでOpenGLから移行したものです)
OpenGLは欠点だらけでSecond LifeがイマイチVR対応に失敗していた原因もここにあるそうですが、時代の流れでSecond Lifeも新しいAPIであるVulkanに進路を変えました。

一応、Mac用にはMoltenVK(Metal上に実装されたVulkan)で動作させることはできていますがこの流れでいくと遠くないうちにMetal非対応のMacは取り残されると思います。
こちらでMetal対応/非対応を確認できます。


  4-6  それ以外の注意事項 
M1 MacBook Airはファンレスのワリには高温にならないようですが、それでもファンレスのノートを3Dゲームの常用マシンにするのは避け、あくまでサブ機と考えた方が良いです。

PC自体”を”いじりたいPC自作ユーザーやWindowsのみを使ってきたユーザーには全く向きません。Mac本体もAppleの各種サービスも完全なブラックボックス・囲い込みで(Appleのやり方に慣れていないと)途方に暮れると思います。

Appleは今後全てのMacをApple Silicon …つまりMシリーズで統一するようですが、MacProもその対象だとするといくつかの疑問点も出てきます。
  • 現行MacProはMAX1.5TBですがSiPにまとめるには高い壁です。既にAppleが何らかの解決策を得ているのは間違いないですが行方が気になるところです。
  • 現行MacProのGPU能力はDual時で最高60.4TFlops・VRAM128GB…2,3年内にそれを超えるMシリーズが出せるのかどうか?
とは言っても一般ユーザーの私達にとって(Second Lifeに使うマシンとして)MacProの能力は全く必要ないので当面はMac mini、MacBook Air/Pro、iMacでの動向を見ていけばいいと思います。

あと、基本的なことですがメモリー増設やグラボの差し替えはできないので購入時はBTOで一番盛ったものを選ぶのが賢いです。
結果的にMac本体の現役期間をのばせます。



 5.  Second Lifeに適したPCは…     
最後のまとめです。AppleSilicon Mac事情を追記したので、あらためて”まとめ”を書いておきます。
  5-1  WindowsでSecond Life 
  • WindowsのPC…ゲーミングPCでなくても良いですがタワー型だったらグラボにミドルクラスのGeForce GTX1050を挿しておけば当面は満足できると思います。

  •  予算があればGeForce GTX1650クラス以上がベストな選択です。

  • FLOPS値と同時にVRAM容量も重要ですが一応グラボを買う時に1GB以上あるか確認して下さい。

  • 但しあまりにもハイエンドのグラボは強力な電源が必要になるので注意して下さい。

  • 強力な電源を調達して…CPUもマザーも…と始めると完全に自作ユーザーになりますが、Second Life動かすだけならその沼は不要です。

  • Windows ノートならeGPUとの併用でグラボが選び放題になるので安心です。

  • 中古のタワー型を買って安い予算でSecond Life専用マシン…という選択もアリですが、PCIe x16スロットは確認して下さい。64bit版Windowsも必要です。

WindowsマシンでSecond Life…はタワー型一択です。
ノートの場合、Thunderbolt接続の拡張BOXを用意すればタワー型と同じくグラボも自由に選択でき「eGPU」となりますがコストがかかります。

用意するグラボはミドルクラスであれば数年は安泰。
他の3Dゲームも…と考えるならハイエンドに手を出しても良いのですが、最上位のハイエンドグラボの載ったPCは50万円程度になります。

次はMacでSecond Life…のまとめです。

  5-2  MacでSecond Life 
  • AppleSilicon Macなら1世代前のM1の iMac、Mac miniでさしあたり問題ありません。

  • 次期Mシリーズなど年々CPU&GPUが強化されていくのは確実ですから購入タイミングは重要です。 (メモリ増設含めてあとからアップグレードはできないので)

  • MacはGPU周りでドライバ云々のことを考える必要がないのでお気楽です。

  • インテルMacなら今も残っているモデルでもさしあたり問題はありませんが、eGPUを追加購入すると現役期間を数年以上のばせます。…が、eGPUを買う予算があるなら安いAppleSilicon Mac mini買う方が良いかもしれません。

  • グラフィックのAPI絡みで(OpenGL,Metal,Vulkanをめぐって)実際のところ今後のMac対応について懸念があります。→Metal非対応のMacは注意です。

  • WindowsユーザーがMacに乗り換える場合、AppleSiliconで今までの価値観が全否定されますから数年はWinマシンと併用をおすすめします。

  • 同じくWindowsユーザーがMacに乗り換える場合、今までできてたことができない→実は最初からクリアしていたことに気付かない等普通にあるのでやるせなくなります。

良くも悪くもMacは最初から全てが揃えられてる(お膳立てされている)ので、すぐに始められる…のが利点です。逆にそこがわかりにくい部分でもあります。

一例で言うとグラボ関連…OSに最初から全メーカーの全てのドライバが入っていて稀にあるOSアップデートの際に新しく登場したGPUのドライバーも(サイレントに)付け加えられてます。Macで採用されてないGPUのも含めて全て!
万事こんな調子ですからAppleのそういう姿勢を知らないと別方向に無駄な時間を使ってしまうことになりがちです。


これは正しいです! 結局一番高いものを買っておけば良いというお話。




Second Life内デジアカMac部 部活用資料
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