今回本当はQuoraの質問からヒントを得たデジタル生前断捨離を取り上げる予定でしたけれど、ミスで全削除してしまったので急遽簡単にまとめられる内容に変更しました。
タイトル通りWeb3を取り上げますが最後にゼロ知識証明にも少し触れておきます。
Web3とゼロ知識証明を一緒に扱っている記事はまだ少ないのですが、多分今後は同時に扱われだすんじゃないかと勝手に思っています。
では先ず最初にWeb3について
1 Web3・Web3.0 …?
最初に表記について正しておきます。
記事によってはWeb3とWeb3.0を同じものとして扱っているものもありますが、厳密には別のものだと考えて下さい
Web3.0はWeb2.0の軸線上にあるものとして過去に語られていたもので特に仕様がハッキリしていたわけでもなく曖昧さを残しますが、それに対してWeb3は明確にブロックチェーンをベースとしたもの・・・となっています。
- Web3.0:Web2.0の先にあるものとして付けられていた名称
- Web3:ブロックチェーン技術を使った新しいWebの姿
ただ、過去に「将来のWeb3.0の姿」を記述するものが複数あり、それは明らかに今Web3と呼ばれているものと異なっていて整合性が保てません。
※それにはブロックチェーン云々が出てきません。
と、言うわけでWeb3呼びを推奨しますしここではWeb3で統一します。
2 Web1.0〜Web3までの変化
Web3の説明に入る前にWeb1.0とWeb2.0はどういうものだったのかおさらいしておきます。
普段何気に利用しているインターネットですが「このサービスは確かにWeb2.0っぽいな・・」と感じるものも多い筈です。
現在ほとんどがWeb2.0になると思います。
間違いやすいのですが、Web1.0もWeb2.0も明確に策定された仕様というわけではなく元々マーケティング上の区分けでしかなかったものだということです。
後付で「これらの要素があるからWeb2.0。 時代的にこれはWeb1.0だろう」…というニュアンスです。
ですがWeb3は異なります。Web1.0・Web2.0の軸線にはない全く新しいものです。
以下、 2-1 〜 2-3 はその違いについて簡単に概要をまとめました。
Web1.0〜Web2.0〜Web3の違いを 発信者:閲覧者の関係 で説明します。
2-1 Web1.0
Webサイトのことをホームページと呼ぶのが一般的だった90年代。
ホームページを制作した側(発信者)と閲覧者…2つの立場が存在します。
発信者はFTPを使ってHTMLソースをサーバーにアップ・更新し…
閲覧者は「再読込」することで更新内容を見れるようになります。
何れにせよ閲覧者はホームページを閲覧するだけです。
もちろん掲示板やチャットルームなどで投稿することはできますがそれだけです。
つまりWeb1.0は一方通行です。
※配信者:ホームページを制作し情報発信者になる為には自分が使えるサーバーを契約しhtmlやJavascript・画像編集ソフトその他を駆使してサイトを制作→FTPを使用してサーバーにアップ。掲示板などの設置はCGI、Perl、telnetの知識も必要です。(Web1.0でスタイルシートは意識しなくても良い)
2-2 Web2.0
今現在Web2.0の時代の中にあるので感覚的にわかりやすいと思いますが、双方向コミュニケーション・ユーザー参加を実現したものがWeb2.0です。
SNSやブログ・Wikipediaが代表例ですが、こう考えるとわかりやすいと思います。
今までずっと閲覧者であった者が… 思いつきでSNSやブログに投稿したら、その時点で発信者。つまり誰もが発信者になれる世界がWeb2.0です。
簡単に投稿やブログデザインを変更できるのもCMS(Contents Management System)というシステムがサーバーで動いているからですが、これを使って誰もが簡単にそれらの作業が行えます。※WordPressやWix…その他様々なCMSがあります。
またTwitterやYouTubeのように画面に表示される内容が刻々変化していく動的なページもWeb2.0ですしオンラインストアの類でも見かけますね。
結局、今私達がインターネットと呼んでいるものがWeb2.0の姿であると言えます。
Web2.0は双方向であり動的です。
2-3 Web3
Web2.0で殆どのことができてしまっているのに何故その先が必要なのか?
ここに疑問を感じる方も多いかもしれません。
確かにWeb2.0は万能そうですし何でも出来てしまいそうです。
中央集権型だと言うこと。
どこかのサービスを利用するにあたってアカウントとパスワード(場合によっては個人情報等も)を管理会社に明示する必要があります。
・・・・あたりまえですね。
そして、クラウドサービスだったら自分の財産にも相当するものを預ける場合もありますが
- もしサーバー落ちしたら不便になる人が大勢出ます。
- もし管理会社で間違ってデータ削除してしまったら大勢の資産が消失します。
- もし管理会社がいきなり潰れてサービスが突然停止したら・・・
- もし管理会社が個人情報を流出させたら・・・(よくありますね)
以上が中央集権型が抱えるリスクです。
ここまでで何となく気付くかもしれませんが、GoogleもAmazonもFacebookもTwitterもYahooも…他にもたくさんありますがWebサービスを提供している巨大IT企業はWeb2.0の中央集権型です。 ストレートに言ってしまうと個人情報で商売するビジネスモデルです。
今のスタイル(Web2.0)が消えると困る側だとも言えますね。
…とは言え時代の流れには逆らえません。
先日GoogleがWeb3に積極的に関わっていくことを表明しました。
「Googleのブロックチェーン戦略、ウェブ3でも覇権狙う」
タイトルに「…でも派遣狙う」とある通り、Web3では一旦仕切り直しされて皆が同じスタートラインに立つことになります。
このことからもWeb3が1.0や2.0の後継ではなく別の世界線の存在だということがわかると思います。
さてWeb3ですが・・・これは非中央集権型です。
Web2.0の問題点とされていたリスクが存在しません。
下図のように全てが双方向でつながっていてプラットフォーマーが不在もしくはパーツの一つでしかなくなります。

3 Web3
非中央集権型がその特徴…この概念に初めて触れると意味がわからないかもしれませんがWeb3は中央集権管理者を介さないブロックチェーン技術で実現されます。
簡単に表現すると個人間で情報のやり取りを行うことができる…ということです。
『個人間? メールもLINEもTwitter等のDMも1:1だけど?』
…と考える人はそう多くはないと思いますけれど勿論この場合は情報が中央集権管理者を経由しています。
LINEが危ないと言われるのは正にココですね。
・・・・ですがWeb3ではそれがありません。
中央集権に位置するプラットフォームが必須ではなくなります。
とは言ってもWeb2.0のメリットも当然ありますから将来インターネット上の全てがWeb3に置き換わるわけではなくWeb2.0と補完しあうカタチになっていくと思います。
3-1 Web3を支えるブロックチェーン
Web3がブロックチェーンで成立することは既に説明している通りですが、ネット上でのやり取りにおいて不正・改ざんが行えない。そして相互の透明性が高いことが利点としてあげられます。
プラットフォーマーたる中央管理者を介していないので個人情報漏洩のリスクを抑えられますし、あるいは事故や意図的な攻撃でネットワーク上の一部のシステムが落ちてもネットワーク全体が落ちることはありません。
これはサイバー攻撃に強く高いセキュリティ性があるということを意味します。
ブロックチェーンはデータベース技術の一種で、ある単位(ブロック)でデータを管理し、それを鎖(チェーン)状に連結しデータを保管する技術です。
各々のブロックに直前のブロックの内容を表すハッシュ値と呼ばれるデータが書き込まれていますが、途中でデータ改ざんを行うとこのハッシュ値が変わり次のブロックが接続できなくなります。
これがセキュリティ的に強い理由です。
一部の分野を除きブロックチェーンに触れる機会が少ない今の段階でこれを感覚的に理解…というのはやや難しい面があるかもしれません。
Web3とブロックチェーンについてはまだ少し時間的な余裕がありますが過渡期の間はしばらく新しい技術や仕組みの話が続くと思われます。
概ね次のような話題が同時に語られていますが、Web3やブロックチェーンとセットで注目しておくと良いと思います。
3-2 NFT
NFTを日本語に置き換えると「非代替性トークン」ですが、私達のようにSecond Lifeをやっている者にとっても少しかすってくる話題です。
デジタルデータはいくらでもコピー複製可能なのでオリジナルもコピーも関係ありませんが、NFTで扱うことによって権利者が主張する本物(もしくはオリジナル)が証明できるようになります。
コピーされたデータと権利者が選定したデータを完全に区別できるようになります。
- ここが重要です! 内容が同じデータでも区別できるようになります!
複数の手を渡ったものの場合その履歴も残せるので著名な人の手にあったコンテンツデータに付加価値を与えることもできます。
こう考えると分かりやすいですが…4kモニターにフルスクリーンで映した1枚のデジタル画像をスクショ。
これはオリジナルとなかなか見分けができませんが、NFTでなら第三者がスクショしただけのものか権利者の手元にあったデータなのか出処が判明します。
3-2 DAO(分散型自立組織)
ブロックチェーンにより中央管理者なしで管理運営される組織を指しますが、多分今一番注目されているものとなります。
誰でも自由にDAOの活動に参加できますしここでは参加者全員が平等です。
DAOの運営ルールや決まりごとは予めスマートコントラクト(ブロックチェーン上で契約を自動的に実行する仕組み)に書き込まれていて透明性の高い組織体系です。
運営方針に対して参加者一人ひとりが投票を行うことができるガバナンストークンによって意思決定されます。
3-3 DeFi(分散型金融)
ブロックチェーン上で展開される金融システムですが直接個人間の取引ができます。
中間業者が存在せず銀行などの金融機関に自分の資産が管理されないことを特徴としています。
一定の条件で取引を自動実行するスマートコントラクトという機能により様々な金融取引が可能ですが、このスマートコントラクトはコード公開されているため透明性が高いです。
4 ゼロ知識証明
ゼロ知識証明…って、それを構成する 単語の意味は簡単ですが 何を言っているのか戸惑いますね。
そのシーンをものすごく簡単に表現するとこんな感じになると思います。
- Aさん: そこにあるモノは私のだから持っていくね!
- Bさん: これがあなたのモノであるということを証明するものはありますか?
- Aさん: 私が持ち主で間違いないからそれで良いよね!
- Bさん: はい了解しました。
これがゼロ知識証明です。
やりとりを見るとAさんは自分が持ち主だと主張しているだけに見えます。
…にも関わらずBさんはAさんが持ち主だと認めました。
『なんじゃそりゃ〜!』…と、腑に落ちないかもしれませんがこれからの時代で重要になってくる暗号化技術ですから名前だけでも憶えておいて下さい。
4-1 Webに対してのゼロ知識証明
Webサービスには付きもののパスワード入力。
これをゼロ知識証明にすると…パスワード入力しないでOK!
自分がパスワードを知っている本人という証拠を送れば良くなります。
尚、Webの認証では母親の旧姓を送るようなシーンもよくありますが、これもゼロ知識証明では不要になります。自分が確実に本人であることの証拠は他にもありますから・・・
4-2 ゼロ知識証明のプロトコル
ゼロ知識証明は暗号化に関することなので正直難しい話題です。
Web3時代には当たり前のように併用される技術だと思われますが、実はゼロ知識証明そのものは1980年代に登場していてわりと古くから議論されている手法です。
このプロトコルを成立させるためには次の3つの要素が必要です。
- 安全性:証明者の主張が正しければ検証者はその主張を高確率で検証できます。両者がゼロ知識証明プロトコルに従っている限り検証者は証明者の主張が正しいことを確認できます。
- 健全性:証明者の主張が偽であれば検証者はその主張の偽りを確実に見抜けます。証明者は検証者を決して騙すことはできません。
- ゼロ知識性:検証者が証明者が提示する以外の情報を引き出そうとしても証明者の主張が正しいこと以上の知識は引き出せません。
以上3点、全くその通りで難しい話ではありません。
つまり今のところこう理解しておいて下さい。
第三者に対して自分が提出したくない情報は与える必要なし。
既に自分は正当であると認められているのだから・・・
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